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香港で大気汚染による早死、1-6月だけで1600人、地元香港の環境団体の調査.(WSJ)

2013-07-16 23:15:35

香港の高層ビル街も、大気汚染で霞んでいる
香港の高層ビル街も、大気汚染で霞んでいる
香港の高層ビル街も、大気汚染で霞んでいる


香港を拠点とする非営利環境団体の健康空気行動(CAN)が発表した新たな調査結果によると、大気汚染が原因で今年1-6月に香港で早死にした人口は1600人に上る。香港市内の公害が悪化しているためだという。

香港では長い間、大気汚染の原因は中国本土との境に林立する工場からの有害な煙とされてきた。だが、1-6月のデータは、スモッグの悪化だけでなく、老朽化した車両など香港市内の汚染の影響が大きいことを明らかにするものだった。

CANは、市内を走る老朽化した車両からの排気が大気汚染の原因としている。報告書(中国語)によれば、香港の金融センターや最も混雑した道路が含まれる中西区の商業地区では、大気汚染の主因となる二酸化窒素レベルは22%上昇した。これは、世界保健機関(WHO)が推奨する安全上限を60%超上回る水準だ。

CANの鄺芯妍氏は、珠江デルタ地域全体の大気質からもっと影響を受ける東涌地区の大気は全般的に改善がみられ、13%減少した汚染物質もあるとした。

鄺氏は「基本的にこのデータは、最近の香港の汚染は道路からのものに間違いなく、香港内の問題であることを示している。香港政府は何らかの対策をほどこす必要がある」と述べている。

中国本土では今月初め、大気汚染によって寿命が5年以上縮まるとの報告が出された。大気汚染がひどければ短期間でも、心不全や不整脈、発作などのリスクが高まる。

最も有害な排気を出している古い大型ディーゼルトラックに対処するため、香港政府は昨年、13億米ドル規模のトラックの買い替え補助制度を提案した。だが、やはり大気汚染の元凶となっている老朽化したタクシーは対象外だ。香港では最近、10台あまりの電気自動車が導入されたが、鄺氏によれば、香港のシンボルでもある赤いタクシーの大半を早急に買い換える必要がある。

10年前、香港のタクシーがディーゼル車からLPG(液化石油ガス)車に切り替えられた際は、有害ガスの排出量を削減するものとして広く歓迎された。香港のタクシーとマイクロバスの業界団体、香港的士小巴商総会の王仲強会長は、「今ではタクシーは随分改良され、環境にやさしくなっている」と語る。

だが、CANの鄺氏は、排気ガスから汚染物質を除去する触媒コンバーターの寿命は数年に過ぎず、コンバーターを新しくしなければ全く機能しないと指摘する。

政府も同意見のようだ。先月、香港政府は今年からタクシーやバス所有者に触媒コンバーターの取り替えを1回に限って補助する計画を発表した。

鄺氏も王氏も、政府がもっと大気汚染問題への取り組みを強化すべきとの見解では同意見だ。王氏は、空気をきれいにするため、トラック運転手だけでなく、タクシー運転手にも車の買い替えを補助してインセンティブを提供すべきと述べた。

http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324802804578608443752058644.html?mod=djem_Japandaily_t