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ロシアが2020年のCO2削減目標を90年比25%削減に、日本の「鳩山目標」と同じ水準設定へ プーチン大統領指示(FGW)

2013-10-05 21:50:39

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putind0123476_1641013内外の関係筋によると、ロシアのプーチン大統領は、11月にポーランドで開く第19回国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP19)を前にして、2020年までの同国の温暖化ガス削減目標を少なくとも90年比25%削減とすることを決めた。90年比25%削減は、日本が民主党政権下で国際公約した目標値と同じ。

ロシアは京都議定書の議定書Ⅰ国で議定書の削減義務を負ってきた。京都議定書の第一約束期間の目標は、90年比ゼロだった。ロシアの90年のCO2排出量は年間30億5000万トンで、日本の2倍強。世界第四位の排出国だ。しかし、ロシアの経済状況は、基準年の90年の後、91年末にソ連が崩壊し、その後、経済活動が大きく低迷してきたことから、たとえば2003年の排出量は90年比34.5%減という大幅な削減枠が招じている。

このため、ロシアは余った排出枠を”ホットエア””として、EUなどに販売してきた。ポスト京都の枠組み交渉では、さすがにゼロ%目標の継続はできないことから、2009年のCOP15のコペンハーゲン合意で自主的目標として2020年の削減目標を90年比15~25%という幅で示していた。

今回のプーチン大統領の指令は、このうちもっとも厳しい25%を採用するとの判断だ。ただ、ロシアの経済情勢を判断する限り、25%削減もそれほどの障害はないとみられている。このため「最小でも25%」という表現となっており、ポスト京都の国際交渉の駆け引き次第では、削減目標数字の上乗せをカードに使うことも考えられる。

同じ「25%削減」といっても、日本の現状とはかなりの厳しさの開きがあるのも間違いない。日本は、原発事故の影響で原発再稼働が物理的にもきわめて限られた数しか見込めず、また石炭火力等での発電を増やしているため、11年以来のCO2排出量は増加基調にある。現在は政府部内で目標値を「2005年比6~7%」「いや数%」などと京都議定書水準すらも厳しい論議を続けている。実際の単位当たりの排出量では効率のいい日本の産業界だが、国全体の排出目標値を高く設定できないと、国際交渉において明らかに見劣りし、交渉の主導権を持てないのも事実。

この際、EUが京都議定書で発揮した東欧諸国を巻き込んで総排出量削減を可能にした「EUバブル」のようなものを、ロシアと締結する手もないこともないが・・・・