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日本、石炭火力発電所計画拡充で 国際石炭市場から“好感” 世界の低炭素化・再生可能エネ志向と逆行(WSJ)

2014-03-28 12:42:18

Jパワーの石炭火力発電所
Jパワーの石炭火力発電所
Jパワーの石炭火力発電所


【東京】日本は国際石炭市場で数少ない明るい材料になりつつある。2011年の福島第1原発事故を受けて稼働をすべて停止した原発に代わって、石炭火力発電を拡充しているからだ。

日本の電力会社は新規石炭火力発電所の建設に何十億ドルものカネを投入する計画で、米国とは対照的だ。米国では地球温暖化への懸念で、既存技術を使った新規石炭火力発電所の建設が実質的に阻止されている。

そして、日本の石炭火力建設計画は、東日本大震災と大津波によって福島第1原発の原子炉がメルトダウン(炉心溶融)を起こした11年3月以降、日本のエネルギー事情がいかに大きく変わったかを示している。

九州電力は27日、1ギガワット(100万キロワット)の石炭火力発電所を建設するという長年凍結していた計画を復活させると発表した。東京電力など他の電力会社も石炭火力発電所の増設計画を発表している。

こうした計画がすべて実現すると、日本の石炭火力発電所の発電能力は向こう10年間程度で約47ギガワット(4700万キロワット)に増加する。これは福島原発事故直前の水準を21%上回る。

日本には原発が48基あるが、現在すべて稼働を停止している。規制当局は幾つかの原発の今年と来年の再稼働を容認すると予想されているが、他方で強化された原発安全基準を満たすための改良が余りに高くつく旧式の原発も少なくない。

輸入天然ガスはギャップの一部を埋めるだろうが、コストが高い。太陽発電と家庭用燃料電池はまだ日本の電力需要のほんの一部を満たしているだけだ。この結果、残されるのが石炭だ。それは比較的安価で、オーストラリアなどから調達可能で、しかも1日24時間使用できる。

東北電力の原田宏哉東京支社長は27日の記者会見で「われわれは政治的に安定した国から石炭を輸入できるし、価格は極めて競争的(安価)だ」と述べた。東北電力はこの会見で、1.2ギガワット(120万キロワット)の化石燃料火力発電所の建設の計画を明らかにした。そのうち半分程度(60万キロワット)が石炭火力になるという。

石炭の短所は環境への悪影響だ。福島第1原発事故以降、日本の石炭利用は既にじりじりと増えており、その結果、13年3月に終わった昨年度の日本の二酸化炭素(CO2)排出量は過去2番目の水準に増加した。

日本は中国に次いで世界第2位の石炭輸入国だ。中国は石炭火力発電が一因となっている深刻な大気汚染に対処するため、石炭に代わる代替燃料を求めている。中国と違って、日本は石炭をほとんど全量輸入しなければならない。

税関統計によると、昨年の日本の発電用石炭の輸入は1.3%増の1億0900万トン。12年は同6.4%増だった。輸入は今年当初2カ月間も増加を示した。

日本の石炭火力発電所増設計画は、中国などで石炭需要が低迷しているだけに、世界の石炭輸出国にとって朗報だ。東京の商社関係者によれば、スイスに本拠を置く資源大手グレンコール・エクストラータ社は東北電力との間で4月に引き渡しが始まる石炭価格で交渉中だ。グレンコール、東北電力の代表はコメントを避けた。

 

http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304233804579466003085973492.html?mod=djem_Japandaily_t