HOME9.中国&アジア |国連気候変動サミット 米中が主導力を強調 中国も削減目標設定を言明 安倍首相は日本の目標設定示せず(各紙) |

国連気候変動サミット 米中が主導力を強調 中国も削減目標設定を言明 安倍首相は日本の目標設定示せず(各紙)

2014-09-24 09:34:38

23日、ニューヨークで開かれた国連気候変動サミットの冒頭で演説する潘基文国連事務総長(中央)(ロイター=共同)
23日、ニューヨークで開かれた国連気候変動サミットの冒頭で演説する潘基文国連事務総長(中央)(ロイター=共同)
23日、ニューヨークで開かれた国連気候変動サミットの冒頭で演説する潘基文国連事務総長(中央)(ロイター=共同)


各紙の報道によると、23日に開いた国連気候変動サミットで、潘基文国連事務総長は「気候変動はわれわれの現在を決定づける問題だ。われわれの対応が未来を決める」と述べ、全ての国が対策に乗り出すよう求めた。

サミットには国連の呼びかけに応じる形で、オバマ米大統領や安倍晋三首相など120カ国以上の首脳級が参加した。

 

オバマ大統領は、「我々は気候変動の衝撃に直面した最初の世代で、それに対処できる最後の世代だ」と述べ、一刻も早く野心的な温暖化対策をとるよう各国に呼びかけた。また、中国の張高麗副首相も、2020年以降の温暖化ガス排出削減目標について「できるだけ早く削減案を示し、二酸化炭素(CO2)の総排出量の削減に向けた努力を強める」と、公式に削減目標を設定する立場を強調した.

 

オバマ大統領と会議前に張副首相と協議し、オバマ大統領が「米中は世界の2大経済・排出国として、温暖化対策を主導する特別な責任がある」と呼びかけたことも明らかにした。

 

オバマ大統領は演説で、「クリーンエネルギーに野心的な投資をして、野心的な排出削減に取り組む」と強調した。また、国連演説に先立って、気候変動に対処するための大統領令に署名した。主な内容は、干ばつなどに強い農業や異常気象に対処する専門家の育成、温暖化をもたらすメタンガスや冷媒HFC(ハイドロフルオロカーボン)の排出削減などへの取り組実を盛り込んでいる。

 

一方、安倍首相は温暖化対策が必要な発展途上国に対して、今後3年間で気象・防災の専門家ら1万4000人の育成を支援する方針を表明した。しかし、国連サミットの焦点である2020年以降のCO2排出削減の数値目標については「できるだけ早期の(国連への)提出を目指す」と述べただけで、具体的な時期は示さなかった。



首相はCO2排出削減へのコミットメントについて「すべての国が参加する枠組みが必要だ」と述べたが、米中を軸に、先進国と途上国の協働の枠組みづくりの機運が高まっている流れに、日本は出遅れている印象を強めた。日本は東京電力福島第1原発事故後、世界的にコスト増となっている原発の再稼働にこだわりを続けており、再生可能エネルギー主導でのCO2排出削減が加速する動きについていけておらず、国内の将来の電源構成の改革を定められず、数値目標を示せていない。

 

国連は2020年以降の各国の数値目標に関する新たな枠組みを、来年年末にパリで開く国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で合意する予定だ。

 

 

 

中国はこれまで経済成長を優先するため、CO2排出量の削減目標の単位を「国内総生産(GDP)当たり」とし、日本などのような総排出量の規制には慎重姿勢を崩していなかった。張氏の今回の演説はこの方針の転換を示唆したものだ。

張氏は「国際社会の義務を踏まえ、積極的な責任を果たしていく」とも述べ、気候変動問題で米国などと協調していくとした。

中国政府は年内にも20年以降の温暖化ガス排出目標案を示すとみられている。中国国家発展改革委員会の解振華副主任は気候変動サミットに先立つ記者会見で、中国の16~20年の次期5カ年計画に、CO2総排出量の削減目標を盛り込む可能性を示唆していた。

張氏は今回の演説の中で、時折叫ぶような口調で積極的に問題解決に取り組んでいくとの姿勢をアピールした。