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日本の電源開発と伊藤忠が出資するインドネシア・バタン石炭火力発電事業 地元住民らが抗議行動。不法な土地強制収用 気候対策に逆行 反対派への人権侵害等(FOE)

2014-09-24 22:26:23

豊かな田園で石炭火力建設反対の声を上げる住民たち
日本とインドネシアの官民が推進しようとしている東南アジア最大規模となるバタン石炭火力発電事業は、土地収用が完了せず、2年間着工が遅れてきました。 現在、事業者による3度目の融資調達期限が10月6日に迫っており、同事業の行方にさまざまな関係者の注目が集まっています。

※バタン石炭火力発電所建設事業の概要、FoE Japanのこれまでの活動はこちらからご覧下さい。
これまでの動き

9月23、24日、自分たちの農地や漁場が奪われることを懸念し、この3年間、同事業への反対運動を続けてきた住民、そして、彼らを支援してきた現地NGOが、「食にYes、石炭にNo」というスローガンを掲げ、建設予定地で抗議アクションを展開。「融資調達期限のこれ以上の延期をせず、同事業の永久的な中止」を訴えました。
→現地NGOプレスリリース(2014年9月23日)の和訳は下記でご覧下さい。

 
 

事業者であるビマセナ・パワー・インドネシア(BPI)社(電源開発、伊藤忠が68%出資)は、地権者の抵抗により、土地売却交渉が進まないことから、今年6月に「不可抗力宣言」を出し、インドネシア政府に土地収用の早期解決に向けた支援を求めています。

今回の地元での抗議アクション中も、地元の警察等が、住民らの写真やビデオを撮影し続けるなど、終始、監視が続けられており、現場での反対住民への警察や保安要員による嫌がらせが懸念される状況でした。今後、インドネシア政府が本格的に土地収用に乗り出してくれば、こうした反対住民への嫌がらせ、脅迫、また強制収用など、人権侵害が深刻化する可能性もあります。

 

日本政府、また、現在、同事業への巨額の融資を検討中の国際協力銀行(JBIC)は、地元住民の懸念と根強い反対の声に耳を傾け、また、現場での深刻な人権侵害の状況に鑑み、同事業への参加・融資の検討を早急に止めることが求められています。

(以下、現地NGOのプレスリリース和訳です。)
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【現地NGOプレスリリース】
バタン石炭火力発電所は食料安全保障を脅かし、気候変動を悪化させる

2014年9月23日
PDF版はこちら

 

中部ジャワ州バタン県発 -本日、中部ジャワ州バタン県の農民は、「Food No Coal(食料を。石炭にNo)」と宣言する横断幕をポノワレン村で広げるアクションを行ない、石炭火力発電所建設への反対の意を示した。

87人の農民は「Food No Coal(食料を。石炭にNo)」と書かれた50平方メートルの横断幕を掲げ、生産性の高い農地を保護していくこと、また、石炭火力発電所によって同地が脅かされていることを強調した。

グリーンピース・インドネシアの気候・エネルギー・キャンペーナーのアリフ・フィヤントは、バタン石炭火力発電所がどのように近隣の生産性の高い農地(年3回の収穫可能)を脅かすかを説明した。

彼は、次期大統領に選出されたジョコ・ウィドドが、インドネシアがさまざまな国から米を輸入していることに鑑み、優先プログラムとしている食料安全保障プログラムを同発電所が脅かすものだと、強調した。グリーンピース・インドネシアは、インドネシア経済開発増進・拡大マスター・プラン(MP3EI)事業が、食料安全保障、もしくは、農民や漁民の生計手段の土台を損なうものであってはならないと、主張している。

バタン石炭火力発電所建設計画は、気候変動に対するインドネシアの脆弱性を増すことになる新規の石炭火力発電所の建設117件の一角をなすこととなっている。このバタン発電所だけで、結果として、年間1,080万トンの二酸化炭素を排出することになるが、これは2009年のミャンマー全国の排出量と並ぶものである。

「バタン石炭火力発電所の建設は食料安全保障を脅かし、文化的かつ伝統的なインドネシアの農業に被害を及ぼし、地球規模の気候変動のペースを加速化させる。同事業は、農業や漁業に依存している何万人もの農民、漁民、また、他のコミュニティーの生計手段を危険に陥れる。」とアリフは述べた。

彼はまた、「バタンで起きている問題は、現政権がメディアを通じて常に伝えてきたような、発電予定地における土地収用問題の未解決だけではない。ここで真に論じなくてはならないのは、何万人もの漁民と農民がそこで生活できなくなるため、インドネシアの食料主権のためにも重要な彼らの食料生産、生活、生計手段を維持しようと闘っているということだ。それ以上に、彼らは悪化していく気候変動から地球を守ろうとしている。」彼は主張した。

インドネシア法律擁護協会(YLBHI)のワヒュ・ナンダン・ヘラワンは、インドネシア政府は、バタン石炭火力発電所に関連し、賢明な措置をとらなくてはならないと強調した。「バタン住民は(事業を)拒否し、地権者らは土地を売却しないことを選択してきた。したがって、政府は同石炭火力発電所を建設しないという確固たる立場を表明すべきだ。」とヘラワンは説明した。

「もし彼らが同石炭火力発電所の建設を続けるなら、果てしない対立となり、深刻な人権侵害を誘発する可能性がある。」と彼は述べた。

同事業は、2011年10月6日署名の合意に基づき、官民連携で進められている石炭火力発電所(226ヘクタール)の建設計画である。しかし、2012年初期から、住民は同建設計画を拒否し、反対してきた。住民の抗議により、ビマセナ・パワー・インドネシア社(BPI)は、重要な融資者であるJBICの設定した融資調達期限を2回、満たすことができずにおり、「不可抗力」を宣言した。

BPIは、日本とインドネシアの企業連合体で、電源開発(J-Power)(34%)、伊藤忠(32%)、アダロ・パワー社およびアダロ・エナジー子会社(両者で34%)が出資している。

連絡先:
Arif Fiyanto,
Climate and Energy Campaigner of Greenpeace Indonesia,
0811 180 5373, arif.fiyanto@greenpeace.org

Wahyu Nandang Herawan,
Public Defender of the Indonesian Legal Aid Foundation (YLBHI),
wahyu.nandang@ylbhi.or.id, +62 85 7272 217 93

http://www.foejapan.org/aid/jbic02/batang/release/20140923.html