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米加州ビーチ、今世紀末までに消失も=気候変動で海面上昇(Reuters)

2011-09-17 18:02:33

夕日の中を海から浜に戻るサーファー(2010年12月31日、米カリフォルニア州ロサンゼルス)
 【サンフランシスコ15日ロイター時事】米サンフランシスコ州立大学のフィリップ・キング准教授(経済学)率いる研究チームは15日、気候変動によって海面が上昇すると予想され、今世紀末までにカリフォルニア州の象徴で観光名所でもあるビーチの一部が浸食される公算が大きいとの見方を明らかにした。ビーチ消失とともに、不動産、道路、それに税収の面で何億ドルもの損失が生じるという。

 

キング准教授は「ビーチが消失ないし縮小したり、浸食されたりするようなことがあれば、観光が衰退する。われわれは最良の科学的知識を利用しており、被害の推定額がまだ小さ過ぎる可能性もある」と述べた。

 同大学の研究チームはカリフォルニア州船舶・河川局から助成金を受け、温室効果ガスに伴う気候変動によって同州の幾つかの海岸地域が被る恐れのある経済損失を2年間かけて試算した。その際、サンフランシスコのオーシャン・ビーチのほか、州南部のカーピンテリア、マリブ、ベニス、それにサンディエゴ近郊の州自然保護区トーリーパインズの5地域が対象になった。

 海面が2100年までに1~2メートル上昇するとの予想に基づき、研究チームはどの不動産、インフラ、野生生物生息地、それに空き地が浸水したり浸食されたりするか、そしてその被害額を推測するシステムを考案した。またチームは既存の調査結果を用いて、それらの沿岸の資産の保護ないし移転にどのくらいの費用がかかる可能性があるかを調べた。

 研究によると、5地域の中で最も大きな被害を受けるとみられるのがベニス・ビーチだった。今後90年で海面が2メートル上昇した場合、分かるだけで9600万ドル(約74億円)の損失が生じる。1メートルの上昇だと3160万ドルの損失になるという。

 チームは沿岸付近の内陸の浸食による被害を考慮すると、5つの地域の今世紀末までの全体的な経済損失額は6億から10億ドルないしそれ以上になると計算した。

 環境シンクタンク「パシフィック・インスティチュート」が2009年実施した、より包括的な調査によると、カリフォルニア州全体の海岸地域では、新たな防御措置が講じられなければ、今世紀に50万人近い人々と1000億ドル前後の不動産が海面上昇に伴う深刻な洪水リスクに直面すると結論している。

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPjiji2011091600280

夕日の中を海から浜に戻るサーファー(2010年12月31日、米カリフォルニア州ロサンゼルス)