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温暖化で米イエローストーン国立公園が危機に=保護団体(Reuters)

2011-09-30 18:24:40

米国最大、世界3位の大規模温泉グランド・プリズマティック・スプリング(11年6月22日、米ワイオミング州イエローストーン国立公園)
【サーモン(米アイダホ州)28日ロイター時事】「ロッキー山脈気候機構(RMCO)」と「グレーター・イエローストーン連合(GYC)」の2つの環境団体は27日、気候の温暖化によってイエローストーン国立公園周辺地域に生息する貴重な野生生物や景観が危険にさらされているとの研究結果を公表した。

 

両団体の研究報告によると、過去10年間の同地域の気温は、20世紀の平均と比較すると、世界の温暖化のスピードを上回って上昇しているという。

 報告はこのままだと、気候変動がイエローストーン地域を変貌させてしまう公算が大きいと警告した。同地域はワイオミング、アイダホ、それにモンタナの3州にまたがっており、国立公園が2カ所、国有林が6カ所、それに野生生物保護区が3カ所含まれている。またイエローストーン国立公園地域はあまり手の加えられていない、世界でも最後の温帯地域の生態系の1つだ。

 RMCOは、気候変動が米西部内陸に及ぼす影響を減らすために活動している非営利団体。またGYCはイエローストーン地域の土地、水源、野生生物など生態系の保護活動を行っている自然保護団体。

 報告によると、温暖化によって、同地域で山火事の頻度やその規模が大きくなったり、アスペン(ポプラの一種)のような湿度依存型の樹木の森林がなくなったり、世界有数のトラウト(マスの一種)の漁場がある小川の水位が低下したり、ハイイログマなどの絶滅危惧種にとって重要な生息地がダメージを受けたりすることが考えられるという。

 RMCOの代表で、この報告の主執筆者であるスティーブン・ソーンダーズ氏(元内務次官補代理)は電話による記者会見で「イエローストーン地域の生態系を素晴らしいタペストリーに例えるなら、そこから糸がほつれ出て、その輝きの一部が失われている状態だ」と述べ、「この素晴らしい魅力的な地を将来に残せるかどうかは、われわれ次第だ」と付け加えた。




米国最大、世界3位の大規模温泉グランド・プリズマティック・スプリング(11年6月22日、米ワイオミング州イエローストーン国立公園)


http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPjiji2011092900342