HOME8.温暖化・気候変動 |化石燃料の補助金、撤廃すれば需要4%削減可能=IEA (Reuters) |

化石燃料の補助金、撤廃すれば需要4%削減可能=IEA (Reuters)

2011-10-06 13:44:18

IEAチームエコノミストのビロル氏(2011年6月15日、ロンドン)
【パリ4日ロイター時事】国際エネルギー機関(IEA)は4日、化石燃料の消費に対する世界各国の補助金総額が、このまま減らす努力をしなければ、2020年までに6660億ドル(約51兆3000億円)に達するとの予測を示した。また、同年までに化石燃料消費に対する補助金を廃止すれば、世界のエネルギー需要は4%削減され、二酸化炭素(CO2)排出量の増加をかなり抑制できるだろうと述べた。

 IEAは年に1回発行する「世界エネルギー展望」(完全版は11月9日発表予定)の抜粋の中で、「各国政府や納税者は昨年、化石燃料の生産や消費を支えるために5000億ドル近く費やした」と述べた。その上で「エネルギー価格が高止まりしている時期には、補助金はかなり大きな経済負担になっている」と指摘した。

 IEAの推計によると、2010年の補助金は4090億ドルと、09年の3120億ドルから大幅に増加した。石油製品向けの補助金が最も多くて1930億ドル、天然ガス向けが910億ドルだった。補助金額が最も多かった国はイランとサウジアラビアだった。

 IEAのチーフエコノミスト、ファティ・ビロル氏は、この補助金問題でリポートを提出した経済協力開発機構(OECD)と共同で行った記者会見で、「ものすごい金額だ」と述べ、「一層の改革がなければ、化石燃料消費に向けた助成額は20年までに6660億ドルに達するだろう。これは世界全体のGDP(国内総生産)の0.7%になる」と付け加えた。

 ビロル氏は昨年、改革がなければ補助金が早ければ2015年にも6000億ドルに達すると予測していた。今回、補助金の増加ペースが落ちると予測したことについて、同氏は「中国、インド、それにロシアといった一部の国の努力などを反映している」と述べた。

 一方、会見に同席したOECDのグリア事務総長は、開発途上国、先進国とも緊急に補助金を削減するよう訴え、「各国が過去数十年間で最悪の経済危機に対応しようとしている中で、補助金を廃止すれば、政府による経済・環境・社会的な諸目標達成に寄与できるだろう」と述べた。

IEAチームエコノミストのビロル氏(2011年6月15日、ロンドン)


http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPjiji2011100500290