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中国が2030年の温室効果ガス排出量目標、正式公表。GDP当たり2005年比60-65%削減。2030年頃に排出量伸びゼロ(FGW)

2015-07-01 02:40:21

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中国は2030年に向けた地球温暖化対策の目標達成計画を国連に提出した。それによると、2030年の国内排出量をGDP当たりで2005年比で60-65%削減するとしている。目標達成のために、太陽光発電などの非化石燃料エネルギーが第一次エネルギー消費全体に占める比率を2030年には約20%とし、そのころにCO2排出量の伸びをゼロにし、経済成長とCO2排出量の伸びのデカプリング(切り離し)を実現する考えという。

 

 中国は年末の第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)に向けて、2020年以降の国別排出削減計画である「Intended Nationally Determined Contributions (INDC)」を提出、具体的な目標を明らかにした。

 

 「INDC」の目標達成のため、風力発電を現在の95.81GWから200GW へ、太陽光発電も28GWから100 GWへ、大幅に増やすほか、天然ガスも第一次エネルギー消費に占める比率を2020年までに10%以上に引き上げる。またCO2の吸収源である森林については、05年比で45億㎥分増やす計画だ。

 

 現在、北京などで試行しているカーボン排出権取引によるCO2排出量への価格付けは、中国全土で実施する方向で、世界最大のカーボン取引市場を運営することになる。シンクタンクの試算では、中国が計画通りに導入する再エネ発電の規模は、現在の米国の全電力システムとほぼ同規模になるという。

 

 中国の対策内容は、昨年11月の米中合意の際の方針とほぼ同様。李克強首相は、「環境汚染への宣戦布告」と断言したが、中国の温暖化への影響の大きさから、環境NGOなどは、今回の温暖化目標は「中国のミニマム(最小基準)」との見方をする向きもある。

 

一方、国連などCOP21に向けた国際交渉の担当者からは、途上国のリーダー格の中国が、2030年にはCO2排出量を抑制し、ピークアウトさせることを宣言したことは、他の途上国の対応にも前向きの影響を与えるとの期待もある。