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新築ビルに省エネ義務を課す「建築物消費性能向上法」成立。床面積2000㎡以上、2017年度施行へ。次なる課題は既築建物への規制導入。グリーンビルディング促進へ(FGW)

2015-07-01 19:39:43

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 欧米に比べて遅れている日本の建物の”グリーン化”がようやく本格化する。大型の店舗やオフィスビルなど延べ床面積2000㎡以上の建築物を建てる際、別途定める省エネ基準を満たすことを義務づける「建築物エネルギー消費性能向上法」が1日、成立した。国土交通省は建築分野の省エネを進めることで温室効果ガスの排出量削減につながる。2017年4月の施行を目指す。また2019年度以降に対象面積を300㎡に拡大する方針という。

 

 またエコキュートなどの省エネ設備の導入や、蓄電池付き太陽光発電などを組み込んだグリーンビルディングなどの場合、所管行政庁の認定を受けて容積率の特例を受けることができる。さらに、省エネ基準に適合している建築物について、その旨の表示をすることができる。米国では「エネルギースター」などのラベル制度があり、日本でも省エネ・グリーンの評価が、物件価格や取引に反映されることになりそうだ。

 

 住宅・建築部門のエネルギー消費量は日本全体の3割強(33.8%:2011年実績)を占める。さらに、過去20年を振り返ると、3割強の増加が続いている。2020年以降の地球温暖化対策でも、CO2排出量が増加基調を続ける家庭、オフィス部門への対応が大きな課題となっている。

 

 成立した「建築物省エネ向上法」は、新規の大規模住宅・建物を建築する場合、これまで任意だった省エネ法に基づく断熱窓の設置や発光ダイオード(LED)照明などの対策を設計・計画段階から義務化する内容だ。現在も省エネ基準の適合について建築確認を得る前に自治体に届け出る義務はあるが、基準への適合自体は努力規制となっている。今後は、基準に合致していないと建築確認が下りないことになる。

 

 省エネ判断の基準となるのは「平成25年省エネ基準(エネルギーの使用の合理化に関する建築主等及び特定建物の所有者の判断の基準)。同基準は平成25年から施行されているが、経過措置があり、今年4月からは、完全施行されている。

 

 新築建物は省エネ化が促進されることになるが、問題は既築の古いビルや建物の省エネ化、グリーン化をどうするか。既築建物によるCO2排出量は新築よりはるかに大きい。米欧では既築建物の省エネ化を促進する多様な政策がとられているが、日本では所有権の扱いがネックとなり、順調に進んでいない。

 

http://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_000584.html