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電力安定供給に「ごみ発電」脚光 明石や尼崎(神戸新聞)

2011-11-04 13:54:30

明石クリーンセンターのごみ発電施設。電力の安定供給の一助にと、今夏は昼間に発電を集中させた=明石市大久保町松陰
東日本大震災の影響で冬場も電力不足が見込まれる中、ごみ処理場の焼却熱を利用した廃棄物発電(ごみ発電)が脚光を浴びている。兵庫県内では、明石市や尼崎市のごみ処理場が今夏、電力需要がピークとなる昼間に発電を集中させるなど、電力の安定供給に貢献。同様の事例は東京都などでも広がっており、所管する環境省も推進を図る方針だ。

明石クリーンセンターのごみ発電施設。電力の安定供給の一助にと、今夏は昼間に発電を集中させた=明石市大久保町松陰




(中島摩子)

 焼却炉から出る熱で蒸気タービンを動かす「ごみ発電」。導入自治体は年々増え、環境省などによると2009年度時点で、全国で304自治体(一部事務組合を含む)、兵庫県内では8市と揖龍保健衛生施設事務組合など三つの一部事務組合が稼働させている。施設内でのみ消費する▽余剰分を電力会社などに売る‐の主に2タイプの施設がある。

 明石クリーンセンター(明石市大久保町松陰)は1999年度にごみ発電設備を導入。2010年度は、約1万世帯の年間使用電力量に相当する計約3854万キロワット時を発電し、そのうち約2275万キロワット時を電力小売会社に売却した。10年度決算によると、売電による収入は約2億3千万円だった。

 「効率良くエネルギーを生み、財政的にもプラス」と進めてきたごみ発電に、震災による原発事故の影響で新たな需要が加わった。電力不足が見込まれる中、関西電力が自家発電設備を持つ自治体などに協力を依頼。これを受け同センターは今夏、ごみ焼却を電力消費が多い昼間に集中させた。大西三彦所長は「冬も電力消費が多い夕方以降に発電を増やす検討をしたい」と話す。

 尼崎市のクリーンセンター第2工場(同市東海岸町)も今夏、昼間に発電を集中させるとともに、焼却灰を処理する施設の運転を止めてその電力分も売電に転用。売電量は昨年の同時期より約23%増えたという。

 東京都の「東京二十三区清掃一部事務組合」でもごみ焼却施設全20カ所で、7~9月の最大売電量(午後1~3時)を昨年度より33%アップ。各地でのこうした取り組みを受け、環境省も12年度予算の概算要求で、発電効率が高い「高効率ごみ発電施設」の新設に対する交付金を盛り込んだ。同省の担当者は「施設数はまだまだ足りない。循環型社会の実現と電力不足解決に向けた施策としてより一層進めたい」としている。

http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0004593466.shtml