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米中両国が22日の「アースディ(地球の日)」に、パリ協定に共同署名へ。パリ合意発効へ大きく前進。日本の署名は?(RIEF)

2016-04-06 16:10:48

USChinaキャプチャ

 

 米国と中国は今月22日の「地球の日(アースディ)」に、国連本部で開かれる記念式典に参加し、両国そろって昨年12月のCOP21で合意したパリ協定に署名する。両国合計の温室効果ガス排出量は世界全体の約4割を占めており、パリ協定発効を大きく後押しする。

 

 COP21では、各国が世界の気温上昇を産業革命以前から2℃未満に減らし、1.5℃に抑制する努力をすることで合意した。そうした合意の実現のため、各国は、2020年以降の国別の削減目標案を約束し、協定を結んだ。パリ協定は、世界の温室効果ガスを55%以上排出する国々が、署名対象国の55%を超えたのち、1か月以内に効力を持つ。

 

 2008~12年の期間に実施した京都議定書第一約束期間は、途中で米国が協定から離脱したことから、発効にこぎ着けるのに難航した。今回は、米中という排出量の最も多い両国が率先して署名する形となる。このため、パリ協定の発効は前倒しされる可能性が高まっている。

 

 国連は22日を皮切りに、来年4月21日までの一年間を署名機関として設定している。今月22日の初日のセレモニーの場では、米中のほか、多くの国が署名を表明するとみられる。

 

 国連の潘基文事務総長は、米中両国が署名開始日の初日に共同で署名する方針を打ち出したことを歓迎する声明を出した。米中両国は、自国のパリ協定への署名方針だけでなく、他の国々に対しても同協定の早期有効化のため、迅速な署名を共同で求める、と宣言している。

 

  米中両国はこれまでも、温暖化問題克服に大きな影響を持つクリーンエネルギー技術の開発促進のため、両国間での協力関係を強化していくことで合意している。「米中気候変動ワーキンググループ」「米中クリーンエネルギー研究センター」などの二国間の協力関係を深めている。また国際的には、今年9月に中国の杭州市で開くG20サミットにおいて、気候変動・エネルギー問題での国際協調の推進をリードしていくことで一致している。

 

 米中両国は、政治・外交・軍事面では対立することが多い。だが、温暖化問題では2014年11月に、オバマ大統領と習近平国家主席が2020年以降の温暖化対策の国際的枠組みづくりを踏まえて二国間で緊密な協力体制をとることで合意、2015年6月には、環境・エネルギーで70項目以上の幅広い分野での協力関係を公式に結んだ。http://rief-jp.org/ct8/52832

 

 政治面での摩擦を超えて、温暖化問題で両国が協調関係を築きやすいのは、両国が温室効果ガスの大量排出国であり、石炭依存のエネルギー構造という似た側面を持っていることが要因のひとつと考えられる。

 

 中国の電力供給の約65%は石炭に依存しており、これを2050年までに50%にまで引き下げる計画という。オバマ政権は米国内の石炭火力発電所に規制をかけて、事実上、廃止に追い込む政策を展開している。米国流の脱石炭火力のノウハウ、技術、資本等を中国市場で展開する経済的利害関係で共通する。

 

 また中国は石炭依存を引き下げた分を再生可能エネルギー発電で代替する計画だが、再エネビジネスおよび電力網整備等の分野でも、米国資本にとって、中国市場は魅力的なビジネスの場に映る。中国は、米国の技術、資本等を活用することで、早期にエネルギー転換を実現できる利点がある。

https://www.whitehouse.gov/the-press-office/2016/03/31/us-china-joint-presidential-statement-climate-change