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欧州債務危機で、気候変動対策費450億ドル不足も=報告(Reuters)

2011-11-21 12:05:51

太陽光パネルを検査する関係者(11年7月6日、川崎市)
【ロンドン17日ロイター時事】英会計・コンサルティング大手アーンスト・アンド・ヤング(E&Y)は17日、ユーロ圏の債務危機がさらに悪化すると、世界各国の拠出する気候変動対策資金が当初の予定よりも少なくなり、2015年までに調達ギャップが450億ドルに拡大する恐れがあるとのリポートを発表した。緊縮財政により、政府が変動対策投資水準を維持することが難しくなるからだという。

 E&Yは、現在の緊縮財政水準であっても、主要10カ国(ドイツ、フランス、英国、スペイン、イタリア、日本、米国、オーストラリア、南アフリカ共和国、韓国)による再生可能燃料、クリーン技術、汚染削減策、各種補助金への拠出額は合計で225億ドル不足しそうだとしている。

 この報告は28日から南アのダーバンで開かれる国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)に先立って公表された。COP17で京都議定書の後継となる合意達成の可能性は低い。また気候変動に最も脆弱(ぜいじゃく)な国々の支援に各国が拠出約束している年間1000億ドルの資金が予定通り集まらない懸念も出てきている。

 E&Yの気候変動・持続可能性サービス部門の責任者ファン・コスタ・クリメント氏は「気候変動対策資金の調達ギャップが極めて大きくなることが判明したが、これは経済の不透明さが続いており、低炭素社会の実現が一層遠のいていくことを示している」と述べた。

 E&Yは、ユーロ圏の債務危機が深刻化して新たな銀行危機に陥れば、ドイツが最大の資金調達ギャップに直面し、その絶対額は83億ドルに達するだろうと予想。スペイン、日本、米国は60億ドル以上、英国とフランスは50億ドル以上のギャップになろうと述べた。

 また、現在の緊縮策の下では、ギャップは2015年までにスペイン、英国、フランスが最悪になるだろうという。スペインは、今月20日の総選挙で野党で中道右派の国民党が勝利すると予想されているが、気候変動対策支出を51億ドル削減するとみられている。また英国は42億ドル、フランスは29億ドル圧縮する見通しだ。

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPjiji2011111800399

太陽光パネルを検査する関係者(11年7月6日、川崎市)