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欧州債務危機こそ「環境に優しい地域」の好機=デンマーク(Reuters)

2011-12-21 11:20:15

【ブリュッセル19日ロイター時事】デンマークのマーティン・リデゴー気候・エネルギー・建物相(環境相)は19日、同国が来年1月にEU(欧州連合)の議長国になるのを前に、取り組むべき優先事項を挙げ、欧州債務危機が欧州をより環境に優しい(グリーンな)地域に変えるチャンスだと訴えた。

 リデゴー環境相はEU環境相理事会の会場で、「われわれは第2次世界大戦以降最悪の経済危機に直面している。また6度の気温上昇にも向かっている。商品(一次産品)価格は天井を突き抜けようとしている。何かしなければならない」と述べ、「答えは、エネルギーの効率化と環境分野の成長投資を確実にすることにある。エネルギー効率化に振り向けたユーロはすべて欧州の雇用確保に向かう。これに対し、(環境に害のある)原油の輸入に振り向けたユーロはすべて欧州から出ていってしまうだけだ」と語った。

 同相は、環境に優しいエネルギー投資を促す方法の1つとして、温室効果ガスの排出権価格を十分に高く維持することを挙げ、約7ユーロというEU域内排出権取引制度(EU-ETS)の価格については「持続不可能だ」と指摘した。ただし、市場を下支えする介入の可能性に関する質問には「今後の行動について述べるには時期尚早だ」と答えるにとどまった。

 デンマークは国内で環境に対する積極的な取り組みを行っており、2050年までに化石燃料なしの社会を作り上げると述べている。同国は風力発電で世界を主導しており、電力の5分の1を風力でまかなっている。

 これとは対照的なのが現在の議長国ポーランドだ。同国は二酸化炭素を排出する石炭に依存しており、6カ月前に議長国になった際、EUの二酸化炭素排出量を2020年までに20%削減するという現在の目標から25%に引き上げる計画を阻止し、非難された。

 デンマークは既に、環境保護政党が要求しているようにEU全体で目標を30%にするのは困難だろうが、あきらめてはいないとしている。デンマーク自身は、自国の二酸化炭素排出量を20年までに40%削減する目標を掲げており、EUの目標の2倍になっている。

 20%目標はEUが2007年に掲げた3つのグリーン政策の一つだった。しかし、それ以降、経済・金融危機で環境問題はアジェンダ(優先目標)低下を余儀なくされた。

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPjiji2011122000373