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カーボン価格、下落続く。COP17「ダーバン合意」の“失敗”を反映?(FGW)

2011-12-21 11:49:22

欧州排出権取引市場や途上国でのクリーンエネルギー開発(CDM)に基づくカーボンクレジットの価格下落が止まらない。Bloomberg Nes Energy Financeによると、先週末のEU-ETSの排出権クレジットであるEUAは、前週比14%下がって、t当たり6.75ユーロとなった。CDMのクレジットであるCERはさらに、20%減の4.28ユーロまで下がった。今週に入ってさらに下落を続けている。

カーボン価格が下落を続けているのは、南アフリカのダーバンで開いたCOP17で、2020年の新たな枠組み合意(ダーバン・プラットフォ-ム)への失望感が大きい。同合意は米国、中国なども参加することになっているが、実質的に2013年以降のポスト京都の排出削減目標等は先送りされるなど、「合意は形だけで、温暖化対応は中断しかねない」との懸念が広がっている。

 EUはポスト京都の国際的枠組みで合意できなくても、2020年の排出量を1990年比で20%削減を決めており、排出権取引も2013年以降、第三フェーズの運用を行う。だが、足元の欧州経済は債務危機の影響で大きく揺らいでおり、経済活動そのものの原則も懸念されている。経済活動が停滞するとCO2の排出量も伸び悩むので、カーボンクレジットへの需要は低下するとの見方も、カーボン価格低迷の一因となっているようだ。

そうした中で、欧州投資銀行(EIB)が2013年以降のEU-ETS第三フェーズのEUA200millionユーロを市場で売却するとのニュースも加わり、先行きの供給過剰感から需給環境の悪化が続いている。

Bloomberg NEFのサイト http://bnef.com/services/news-and-briefing