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持ち運びや印刷可能な太陽光発電が続々、開発される(京都新聞)

2012-01-03 12:55:02

クリーンベンチャー21が発売した持ち運び可能な太陽電池モジュールと蓄電池(京都市南区)
再生可能なクリーンエネルギーとして太陽光発電への関心が高まる中、関西の多彩なメーカーから変わり種の太陽光発電システムが次々に登場している。災害時などに野外でどこでも発電できる持ち運び型や、文字や絵柄を印刷して看板としても使える発電パネルなど、新たな付加価値を生み出し、成長市場でさらなる需要を引き出そうとしている。

クリーンベンチャー21が発売した持ち運び可能な太陽電池モジュールと蓄電池(京都市南区)




 持ち運びできる太陽光発電装置を販売するのはクリーンベンチャー21(京都市南区)。昨年3月の東日本大震災を受け、停電や燃料不足時でも野外で繰り返し活用できる発電システムとして製品化した。

 最大出力13ワットの太陽電池パネルのモジュール(複合部品)と蓄電池のセットで、フル充電時でノートパソコンを12時間、携帯電話なら30時間使用できるという。「被災時やアウトドアのレジャーなどにも活用できる」とアピールしている。

 テントメーカーの太陽工業(大阪市)は、多結晶シリコン太陽電池のガラス表面にセラミックインクで印刷する技術を開発し、看板の機能を持たせた。印刷部分は細かいドット柄にしており、非着色部分で発電する。白、青、黄など7色あり、印刷後に焼き付け処理するため耐久性もあるという。

 パネル1枚(約1・5メートル×約1メートル)の最大出力は168ワット。印刷しない場合よりは16%落ちるが、店舗や施設の看板、装飾など幅広い用途に活用できるという。同社は「発電と同時に対外的に環境への取り組みもアピールできて一石二鳥」(広報担当)としている。

 光学フィルターメーカーのフジプレアム(兵庫県姫路市)は、太陽の動きに合わせてパネルの向きが変わる太陽光発電システムを開発した。太陽の軌道を計算して入力し、自動で稼働させる仕組みで、積算発電量は同社の固定型に比べ約1・5倍になるという。

 昨年11月から島根県大田市のイチゴ農家に設置し、市と共同で実証実験をしている。東日本大震災の被災地にもシステムを寄贈する予定にしている。

 太陽電池メーカーでつくる「太陽光発電協会」(東京)によると、2010年度の太陽電池出荷量は253万キロワットで、09年度に比べ約1・5倍に拡大。環境意識の高まりや国、自治体の補助金制度に加え、今年7月から電力の全量買い取りを電力会社に義務づける再生エネルギー法が施行され、さらなる市場拡大が期待されている。

 大手メーカーも昨年夏以降、京セラや三菱電機がパネル面を黒に統一して屋根や街並みの景観になじむ改良製品を発売するなど、きめ細かなニーズ対応を進めている。

http://www.kyoto-np.co.jp/economy/article/20120103000011