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電中研、各国におけるCO2貯留に係る長期的責任の取り扱いを調査(環境ビジネス)

2012-02-13 17:49:53

電力中央研究所は、EU、豪州、北米のCO2貯留(CCS)に係る長期的な責任に関する法規制の整備状況を調査し、研究報告書「各国におけるCCSに係る長期的責任の取り扱い」として取りまとめた。

CCSは、大気中へのCO2の排出を大幅に削減するための技術的オプションとして期待されている。しかし、CCSの広範な普及のためには、解決すべき多くの課題がある。貯留CO2の長期的な責任の取り扱いは、法規的な課題の中でも特に重要と考えられている。一般的に、長期的な責任が政府などの主務当局に移管する場合には、事業者に対していくつかの条件が要求される。それらは、貯留CO2の漏洩等の重大なリスクがないことの証明、圧入停止からある一定期間の経過、財政保証あるいは財政負担への対応、である。これらの要求事項の規定や責任の移管の手続きについては各国で異なる。

この報告書では、EU、オーストラリア、および北米における長期的責任の取り扱いについて明記している。

EUにおいては、地中貯留に関する法的枠組みを示した欧州CCS指令に、長期的な責任の取り扱いが規定されている。貯留サイトの閉鎖後に、3つの条件(閉鎖後から一定期間の経過等)が満たされた場合、CCS実施者から各国それぞれの管轄当局へ長期的な責任が移管される。責任移管後に発生する管轄当局の義務について、1.モニタリング、2.漏洩等の重大異常に対する修復措置、3.排出枠割当ての放棄、4.環境損害の防止および回復、とされている。加盟各国で、CCS指令に沿って法規制整備が実施されている。

豪州では、欧州CCS指令と類似した枠組みの法規制が存在する。連邦政府の管轄領域で実施されるCCSについては、連邦政府への責任移管に先だってサイト閉鎖認証の取得が要求される。主務大臣の重大リスク発生の可能性を鑑みた審査を経て、事業者に対してサイト閉鎖認証が発行されるが、この時点でモニタリング等の特定の義務は連邦政府に移管される。サイト閉鎖認証から最低15年を経て、1.貯留CO2の正常な挙動、2.重大リスクの不存在、が確認された場合は、連邦法に基づくすべての法的責任は連邦政府に移管される。

米国およびカナダでは、連邦レベルでの長期的な責任に関する法規制は存在しない。しかし、ルイジアナ州、テキサス州など複数の州では関連法が存在しており、安定的なCO2貯留の確認、貯留サイト閉鎖後の一定期間の経過、閉鎖後管理基金への資金拠出、等の条件で法的責任が州政府に移管される。


 

http://www.kankyo-business.jp/news2012/20120210_d.html