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世界で最も大気汚染が深刻なモンゴルの首都ウランバートル。住民は身を守るため、ロシア製の「酸素カクテル」や、肺を洗浄するという「ラング・ティー」で自衛(AFP)

2018-05-20 13:59:41

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 【5月18日 AFP】モンゴルの首都ウランバートルでは、大気汚染に耐えかねた住民たちが、汚染された空気から身を守る最後の手段として「ラング(肺)ティー」や「酸素カクテル」を飲んでいる。だが保健当局によると、それらの効果は立証されていない。

 

 国連児童基金(ユニセフ)の報告によると、2016年に世界中の首都で最も大気汚染が深刻だったのはウランバートルで、インドのニューデリーと中国の北京がそれに続いた。ユニセフは報告書の中で、すべての子どもや妊婦を危険にさらす健康危機だと警鐘を鳴らしている。

 

 気温が氷点下40度にまで落ち込むこともある世界で最も寒い首都では、いわゆるゲル地区と呼ばれるスラム街の住民たちが調理や室内の暖房用に石炭ストーブを使用しており、大気汚染が急激に悪化している。汚染源の大半はゲル地区のストーブだが、道路輸送や発電所からも有害なガスが発生している。

 

大気汚染が年々悪化するモンゴルの首都、ウランバートル
大気汚染が年々悪化するモンゴルの首都、ウランバートル

 

 今年1月30日の大気汚染は、世界保健機関(WHO)が定める安全基準の133倍を記録。呼吸器感染症の患者数は3倍近くに上り、今では肺炎が5歳未満の子どもの2番目に多い死因になっているとユニセフは報告している。不安に駆られた親たちは、政府に対応を迫るため数々の抗議行動を行っている。

 

 排ガス防止製品は、WHO関係者らが有効性を示す証拠はないと指摘しているにもかかわらず、こうした動きに付け込む一部の企業が利益を上げている。

 

 モンゴルでは「酸素カクテルを1杯飲むだけで、密林を3時間歩くのと同じ効果が得られる」といったうたい文句の広告があちこちで見られる。

 

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 旧国営百貨店の青果売り場には「ライフ・イズ・エア(Life Is Air)」という商品名の青い缶に入った酸素が2ドル(約220円)で販売されている。グラスに入ったジュースに特殊なストローでスプレーすると、泡立つ甘い「酸素カクテル」に変わるという。

 

 他にも複数の店舗や薬局にコーヒーメーカーそっくりの酸素カクテルマシンが設置されており、1ドル(約110円)払えばジュースを泡立つドリンクに変えることができる。ロシア製のこの商品を愛用している人の中には妊婦も多く、その中には医師の指示に従っていると話す女性もいた。

 

■「真の解決法」は…

 

 会計士で3人の子どもの母親であるバトバヤル・ムングントゥール(Batbayar Muguntuul)さん(34)は、妊娠中に酸素カクテルを飲んでいたが、その結果、医薬品への出費がかさんでしまったという。

 

 AFPの取材に応じたムングントゥールさんは「毎年冬になると、しょっちゅう薬を買っています」「その金額が、日々買わなければならない食費と同じくらいになってしまいました」と語った。

 

 そこで彼女は、他の多くのモンゴル人と同様、家族が自宅できれいな空気を吸えるようにと空気清浄機の購入を決めた。有毒ガスをフィルターで除去するこの装置は300ドル(約3万3000円)したという。

 

 モンゴルにおける昨年の微小粒子状物質(PM2.5)濃度の1日あたりの平均値は、1立方メートル当たり75マイクログラムで、WHOが推奨する安全基準値の3倍だった。大気汚染は、ぜんそくや気管支炎、その他の長期にわたる呼吸器疾患と関連性がある。

 

 モンゴル人の中には、「エンクジン(Enkhjin)」「イヘタイガ(Ikh Taiga)」「ドクター・バートル(Dr. Baatar)」といった、肺の洗浄効果をうたった特別なお茶を飲んでいる人々もいる。

 

 ドクター・バートルの最高経営責任者(CEO)、バートル・チャンツァルドュラム(Baatar Chantsaldulam)氏はAFPの取材に対し、大気汚染が最大になりがちな冬季には販売数が20~30%増加すると語った。「(当社のお茶は)血液からすべての毒素を除去した後、肺の中の毒素を粘液に変える作用があります。使用しているすべての植物性原料に、人の免疫システムを増強する効果があります」

 

 しかしWHOのマリア・ネイラ(Maria Neira)公衆衛生・環境局長は、肺や循環器系を守るための「真の解決法」は大気汚染を減らし、汚染された空気を吸わないことだと指摘する。

 

 同氏は酸素カクテルやラングティーに言及しながら、「ビジネス業界は独自の解決法を多数提供するつもりでいる」が、「その効果の有無については科学的に立証されていない」と述べている。

 

http://www.afpbb.com/articles/-/3174547