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カーボン・ニュートラルを超える「カーボン・ポジティブ」のハンバーガー、今月14日にお目見え。スウェーデンのメーカー。地球にも、お腹にも、クリーンというわけ(RIEF)

2018-06-08 08:09:54

Max1キャプチャ

 

   スウェーデンを中心に、北欧、中東などで店舗展開をしているハンバーガーチェーンの「Max Burgers 」は、自社の50周年記念となる今月14日に、カーボン・ポジティブ(クライメート・ポジティブ)なハンバーガーを売り出す。ハンバーガーの素材の生産から、製造、店舗運営、販売、顧客がレストランに出入りする際も含め、すべてのCO2排出量をオフセットした上に、プラスのCO2吸収が可能という。世界のハンバーガーチェーン店で初めて。日本にもぜひ、進出してもらいたい。

 

 カーボン・ポジティブなハンバーガーを売り出すMAx Burgerは1968 年6月、スウェーデン北部の人口2万人に満たない都市イェリヴァーレ(Gällivare)で、 Curt Bergfors氏とBritta Andersson氏という二人が開いたハンバーガーショップが第一号店。現在、スウェーデンや北欧諸国、中東等に合計約130店を展開している。

 

 母国のスウェーデンではマクドナルドやバーガーキングよりも、利益率のいいバーガーチェーンとして知られる。2008年には、世界で初めて、料理ごとのカーボンフットプリントをメニューに提示したことでも知られている。

 

 同社のChief Sustainability Officerの Kaj Török氏によると、今回の対応で、自社の排出するCO2排出量を光熱費の削減や外部の吸収源クレジット等を購入してオフセットするカーボンニュートラルを上回って、CO2の吸収力を排出量より110%多いカーボンポジティブを実現する。そのために、3段階のアプローチをとった。

 

Max2キャプチャ

 

 第一段階は、同社がハンバーガーの製造プロセスで排出するCO2量を全量測定した。お店だけではなく、仕入れる野菜などを作る農家でのCO2排出量や廃棄物処理時のCO2、顧客がお店に来てお店から帰る際のCO2排出量等、いわゆるスコープ1からスコープ3までを測定した。

 

 同社は過去20年間で、4年ごとに売り上げがほぼ倍増し、それに伴ってCO2排出量も増大、直近では2013年の年間9万5000㌧から2017年には13万5000㌧に増加している。ただ、利益1㌦当たりの排出量は過去4年間で18%削減している。

 

 第二段階は、それらの排出量を削減するための対策だ。同社は2016年に肉の代わりに具材がすべて野菜というグリーンバーガーなどを開発、ファミリー向けに売り出している。肉を使わない分、CO2排出量も相対的に少ない。また肉を使う従来のバーガーの場合も、肉はすべてスウェーデン製でその分、製造工程のCO2量は少ない。

 

Max Burger社の過去のCO2排出量の経緯
Max Burger社の過去のCO2排出量の経緯

 

 また店舗で使う油はリサイクルしてバイオディーゼル燃料とするほか、生態系保護問題を起こすパーム油は一切使わないなどの対策も徹底した。スウェーデン国内の店舗で使う電力等の光熱費は100%風力発電でまかなっている。これらの措置を合わせ、製造工程で発生するCO2排出量をギリギリまで削減した。

 

 第三段階は、残った排出量をオフセットするための植林だ。同社は2008年以来、アフリカなどグローバルな植林事業に資金を投じてきた。これまでに植林した本数は150万本に達し、18万台のガソリン車を一年間道路から取り除いたのと同じ効果をあげている。植林による吸収源については、第三者認証を得ている。

 

 CO2排出量、削減量などの測定は、ISO14067の国際規格に沿った認定を受け、GHGプロトコルにも沿っている客観評価を得ている。同社によると、こうしたカーボン・オフセットにかかる費用は、年間全売り上げの0.25%という。

 

Max4キャプチャ

 

  Török氏は、「まもなく、われわれの顧客は、お気に入りのバーガーを食べながら、地球の温暖化防止に貢献するという”楽しみ”を味わうことができるだろう」と述べている。顧客と一緒にCO2を削減し、売り上げも伸ばせる期待も生まれるわけだ。

 

 カーボン・ポジティブなバーガーは、130の店舗すべてで販売する計画だ。 同社は創業記念でのポジティブバーガーをキャンペーン販売することにとどまらない。今後も、製品からのCO2排出削減のため、野菜中心のバーガー比率を2020年は売り上げ全体の50%にまで高め、CO2排出量をさらに30%削減できるようにする計画だ。

 

 また吸収源対策では、食品残渣廃棄物を熱分解してからバイオ炭を製造、荒れた農地の土壌改良材として活用するプロジェクトに参画しており、これらによる土壌改良と土壌のCO2吸収力向上も対策に加えていきたい考えという。

 

 Török 氏は「カーボン・ポジティブは気候問題に対応するあらゆるブランドメーカーにとっての新しい目標だ。もしバーガーチェーンがそれを達成できるなら、その他のメーカー、企業もできるはず」と語っている。そうだ、その通りだ。

 

https://www.maxburgers.com/