HOME8.温暖化・気候変動 |世界の都市のCO2排出量調査、首都圏9位、大阪周辺35位。最悪は韓国・ソウル市。上位100都市で全体排出量の18%。大都市の温暖化影響が鮮明に。信州大を含む国際チームが研究(各紙) |

世界の都市のCO2排出量調査、首都圏9位、大阪周辺35位。最悪は韓国・ソウル市。上位100都市で全体排出量の18%。大都市の温暖化影響が鮮明に。信州大を含む国際チームが研究(各紙)

2018-06-20 11:07:25

toshiキャプチャ

 

  各紙の報道によると、信州大学などの国際研究チームは20日まで、世界の都市が、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を都市内の消費を通じてどれくらい排出しているか推計した。その結果、日本の東京や横浜を中心とした首都圏が9位、大阪市周辺が35位と、世界全体でも上位に入った。最悪は韓国・ソウル市だった。

 

 (写真は、CO2排出量を増大させる都市の交通渋滞)

 

 研究チームは、各国の都市約1万3000を抽出して分析、集計した。その結果、上位100都市で世界のCO2排出量の18%を占めることがわかった。チームは「主要な都市が主導して排出削減に取り組めば大きな改善につながる」と、温暖化抑制に対する都市の責任を指摘した。

 

 調査では、人口密度が一定以上の地域を「都市」として位置付けた。そのため、厳密には各国で定めている自治体の区分と一致しない。排出が最も多かった都市は韓国・ソウルで、次いで、中国・広州、米ニューヨークと続いた。日本の都市では、首都圏、大阪周辺の他に、名古屋市周辺(82位)、群馬県の前橋市・高崎市周辺(179位)が上位に入った。

 

 人口1人当たりの排出量では香港が最多。日本は福井市周辺(261位)、茨城県土浦市周辺(287位)、同県ひたちなか市周辺(292位)など、500位以内に13都市が入った。車の普及率や所得の高さ、暖房の使用が影響したとみられる。首都圏や大阪市周辺などはこの分野には含まれていない。

 

 温暖化が現在のペースで進行すると、今世紀末の世界の気温上昇は2℃に達し、気候変動や海面上昇、農作物の不作など、大きな被害が生じると予想されている。調査に参加した信州大の金本圭一朗講師(環境経済学)は「消費者も自治体も、環境への負荷が少ない製品を買うことが排出削減策になる。企業は、環境負荷が分かる製品表示を進めてほしい」と話している。

 

 具体的には、動物性たんぱく質は、生育に多くのエネルギーを必要とし、CO2排出量も多い牛肉よりも、軽エネルギーで生育できる鶏肉や魚を選ぶことを勧めている。また、木材や鉄鋼などは、CO2排出量の少ない環境認証ラベル付きや、違法伐採や違法操業などへの規制が厳しい国の製品を使うことなど、生活、経済両面での低炭素製品・サービスの選択と普及を求めている。

 

 研究チームは、各都市の人口や購買力などから2015年のCO2排出量を推計した。都市以外の地域からの供給を受ける電力や、輸入材などについては、それらの生産段階、さらには都市にまで輸送する流通過程で発生するCO2量も当該都市の排出量に加算して推計した。

 

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