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国連「緑の気候基金(GCF)」 豪州出身事務局長、突然の辞任。先進国と途上国の対立激化を反映か。トランプ政権の資金拠出拒否の影響も(RIEF)

2018-07-05 01:15:18

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 途上国の温暖化対策支援のために設立された国連の「緑の気候基金(Green Climate Fund)」の事務局長(Director General) が4日、韓国ソンドで終わった理事会で任期半ばの辞任を表明、退任した。トランプ政権がGCFへの拠出を打ち切ったことに伴う資金繰り問題に加え、先進国と途上国の軋轢が高まったことが背景との見方も出ている。

 

 辞任したのはオーストラリア出身のHoward Bamsey氏。2016年10月に選出されていた。オーストラリアで長年、エネルギー・環境分野の政策官僚として活躍、気候変動・エネルギー効率化省の事務次官を務めた後、GCFの運営上の責任者である事務局長のポストに就いた。

 

 Bamsey氏は、オーストラリアの国連気候変動担当大使を務めるなど、同国の気候変動交渉の中心になってきた人物。同氏は辞任理由について「個人的理由による」と説明し、GCFの運営面でのトラブルではないとの説明をしているという。しかし、今回の理事会が、1日の日曜から始まるという異例の日程もあって、会議参加者から多くの憶測と不協和音が漏れている。

 

 同氏は「次の資金確保の交渉が始まる前に、辞めるのがベスト」とのコメントも残している。資金繰り・配分の調整を巡って、抜き差しならない状況に追い込まれた可能性がある。同氏の後任は決まっていない。

 

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 実際に、今回の理事会では、資金配分決定の対象となっていた11のプロジェクト(合計約10億㌦)への配分を決定することができなかった。4日間の会議日程中、半分ほどがアジェンダの設定を巡る攻防で終始したため、実質的な資金配分の議論にはほとんど時間をかけられなかったためという。

 

 理事会の運営も通常は、共同議長のスウェーデンのLennart Båge氏と、ニカラグアのPaul Oquist氏が一緒に運営する。ところが、Oquist氏は本国が政治危機に直面して、国を離れることができず、 Båge氏一人が議長を務めるというガバナンス面の弱点も露呈した。Båge氏は「今回の理事会は非常に困難で、全員にとって失望した会議になってしまった。しかし、最も重要なことは、気候変動の影響を受け、基金の活動に期待している人々を失望させたことだ」と述べている。

 

 他のメンバーも同様に、失望と苛立ちを隠さない。特に、基金へ資金供給する先進国と、基金から資金を受け取る途上国との間で感情的対立が露わになったことと、それを理事会がマネージできない状況に陥ったことへの不満が渦まいた。南アフリカの代表で前共同議長でもある Zaheer Fakir氏は「われわれは先進国に騙された。大失敗だ」とまで指摘し、先進国側を批判した。

 

 トランプ大統領が米国のGCFへの出資額30億㌦のうち、オバマ前政権時に支出した10億㌦以外の出資を拒否していることも微妙に影響しているようだ。米国の残りの20億㌦を先進国側でどう分担するのか、途上国側にもツケ回しがくるのでは、といった疑心暗鬼が流れているともされる。

 

 さらにそのトランプ政権が今回のGCF理事会に送り込んだ米国代表のGeoffrey Okamoto 氏の言動が、議論を必要以上に緊張させたとの指摘もある。同氏は、GCFが資金配分した途上国に対する支援プロジェクトとして提供する補強プロセスのコントロールについて、「Donor-driven(資金供給側主導)」を主張して後に引かず、途上国側の反発を招いたという。

 

 フィンランド代表のSatu Santala維持は「資金配分は低調だが、資金は28億㌦も余っている。資金不足というよりも(GCFの)ガバナンスを早急に立て直す必要がある」とツィートした。

 

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