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アイルランド下院議会、世界で初めて、化石燃料関連企業向け投資引き揚げ(Divestment)法案を全会一致で可決。法案成立へ。年末にも施行。同国のソブリンファンドが対象に(RIEF)

2018-07-13 01:12:40

ireland1キャプチャ

 

   アイルランドは世界で初めて、化石燃料関連企業への投資を制限する法律を成立させる。法案は12日下院を通過し、引き続き上院でも承認される見通しだ。法律が成立すると、同国のソブリンファンドは、抱える石炭関連資産を5年の間にすべて売却することになる。

 

 (写真は、Divestment法案を通過させたアイルランド下院。法案支持者のメッセージ・ライトが議会の正門の前に飾られている)

 

 12日の下院での法案成立は、与野党全会一致の支持を得て通過した。このため上院の通過も時間の問題となっている。法律は年末に施行される見通し。

 

 法案提案者の一人のThomas Pringle議員は、「化石燃料関連企業への投資引き揚げ(Divestment)は、気候変動の激化を回避するためにグローバル企業の化石燃料ビジネスからの離脱を促すうえで必要性を高めている。今回の法律の制定によって、アイルランドの国民と国際社会は、短期的な利害を超えて、考え、行動できる、という明確なメッセージを送ることになる」と強調している。

 

 法案によると、Divestmentの対象企業は、売り上げの20%以上を化石燃料の探査、採掘、精製などで占める企業となる。対象となる化石燃料は、石炭は当然だが、石油、天然ガス、同国に多いピート(泥炭)を含む。同時に、もしアイルランドの化石燃料関連企業が、化石燃料ビジネスから撤退する場合は、投資支援をするとのインセンティブ政策も付与する。

 

 法律が成立すると、同国の財務省の傘下にあるソブリンファンドの「アイルランド戦略投資ファンド(ISIF)」は、80億ユーロ(1兆500億円)の投資ポートフォリオから、対象となる投資先企業の株を5年の間に段階的に売却する。ISIFは現在、該当する企業株をグローバルに約150社、3億ユーロ(約400億円)以上保有しているという。

 

 ソブリンウェルスファンドでは、1兆㌦規模の世界最大のノルウェーのファンドもDivestmentを宣言している。だが、対象は特定の石炭関連企業であり、石油や天然ガス関連企業は対象としていない。「部分的Divestment」と呼ばれる。石油・ガスを含めてすべての化石燃料を対象としたDivestmentを法律で制定するのは、アイルランドが初めて。

 

 アイルランドの国際慈善団体Trócaireの代表、Éamonn Meehan氏は「今日(12日)、アイルランド議会は国際社会に対して、化石燃料の廃止をスピードアップする必要性を強調する強いシグナルを送った。 先月の調査では、アイルランドは気候行動で欧州の中でも、ビリから二番目の位置に甘んじていた。法案の通過はいいニュースだが、大事なことは気候変動に対する対応を明確に変えていくことだ」と指摘している。

 

http://www.ntma.ie/business-areas/ireland-strategic-investment-fund/