HOME8.温暖化・気候変動 |「振動発電」出力2.4倍に 弘前大・東北大が新合金開発(河北新報) |

「振動発電」出力2.4倍に 弘前大・東北大が新合金開発(河北新報)

2012-03-02 13:15:13

上がコイルを巻いた状態の振動発電装置。下がコイルを除いた状態で、ひも状の電線の先が磁歪材
弘前大大学院理工学研究科の古屋泰文教授(機械材料機能学)と東北大金属材料研究所の横山雅紀助教は、金属のごくわずかな揺れなどから電気を生み出す「振動発電」で、発電効率の高い合金の開発に成功した。鉄とコバルトの合金で、鉄とガリウムによる従来製に比べ、出力は2~2.4倍に上昇し、振動発電の実用化に貢献できるという。
 振動発電は金属のゆがみで生じる磁場の変化を、巻き付けたコイルを通じて電気に転換する仕組み。人や機械が発する無駄なエネルギーを回収する手段として、各地で研究が進められている。
 古屋教授らは外部からの磁力で伸縮する「磁歪(じわい)材」と呼ばれる性質を持つ金属が、種類によって発電効率の異なる点に着目。鉄とコバルトによる合金の原子レベルでの構成比を探ってきた。
 さらに熱処理の手法も工夫した結果、開発した合金はこれまで最適とされてきた鉄ガリウム合金より磁場の変化量などが拡大した。実用レベルの振動を与えた場合の発電効率は、大幅に高まったという。
 振動発電には特殊なセラミックを使って発電する手法もあるが、素材がもろいため設置場所が限定されるといった課題があった。
 古屋教授は「鉄コバルトは鉄ガリウムよりも硬く、発電装置の小型化も可能だ。(作動条件が過酷な)生産機械などへの装着も可能になる」と説明している。

 

上がコイルを巻いた状態の振動発電装置。下がコイルを除いた状態で、ひも状の電線の先が磁歪材


http://www.kahoku.co.jp/news/2012/03/20120302t72004.htm