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ノーベル経済学賞に、炭素税提唱のノードハウス米教授と、技術革新重視のローマー教授。長期の経済成長に環境・技術要因の評価が欠かせない(RIEF)

2018-10-09 09:32:40

Nobel1キャプチャ

 批評家でも知られる。気候経済学で知られるニコラス・スターン卿による「スターン・レビュー(気候変動の経済学)」(2016年)は、気候変動問題を経済的に対応することの重要性を広めるきっかけになったが、ノードハウス氏は、同レビューが用いた将来コストの割引現在価値法(DCF)比率が低過ぎると批判、学界で論争を引き起こした。

 

 一方、ローマー氏はイノベーションが発生し、それが持続的な成長を生み出すメカニズムをモデル化した。ローマー氏はR&Dなどで生み出される知識やアイデアが最終財の生産に投入される中間財の種類を増やし、その増加が最終財の生産性を向上させるサイクルとしてイノベーションを位置づけ、イノベーションが経済成長の源泉であるとする「内生的成長理論」を確立した。

 

ローマー教授
ローマー教授

 

 従来の経済学の成長論では、発展途上国の経済は資本や労働力の投入により一定水準に落ち着くとしていた。だが、ローマー理論によって、知識やアイデアの蓄積度合いにより、国ごとの成長経路が異なることが立証された。

 

 両氏が、環境や知識の役割を定式化したことによって、経済政策としての環境政策の役割が明確化したほか、途上国への開発援助などでインフラ支援だけでなく、環境面や教育面などへの支援の重要性が認識されるようになった、との指摘もある。

 

 授賞式は12月10日にストックホルムで開く。賞金の900万スウェーデンクローナ(約1億1200万円)は2人で分け合う。