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「企業の温暖化対策ランキングー運輸業31社」を調査。WWFジャパンの第8弾調査。1位は川崎汽船、2位にJR東日本。「業界全体でバリューチェーン意識が希薄」と報告書(RIEF)

2018-10-11 21:55:53

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 環境NGOのWWFジャパンは、「企業の温暖化対策ランキング」プロジェクトの第8弾として、運輸業の評価レポートを公表した。対象企業は31社。もっとも評価が高かったのは、川崎汽船(73.6点)、次いで、東日本旅客鉄道(69.8点)、小田急電鉄(66.9点)と続く。運輸業界全体のスコアは過去の7業種と比べ平均的で、業界内では海運が陸運、空運と比べ相対的にスコアは高めだった。

 
 調査は対象とした31社のうち、環境報告書類を発行していない6社を除く25社の温暖化防止の取り組みを調べた。重要評価項目は、長期的なビジョン 、削減量の単位、省エネルギー目標、再生可能エネルギー目標、総量削減目標の難易度 、ライフサイクル全体での排 出量把握・開示、第3者による評価ーーの7指標で評価した。

 

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 評価の結果、業界全体の総合得点は、過去に実施した他業種と比べて、45.8点と平均的なレベル(平均点は各々電気機器48.7点、輸送用機器46.7点、食料品44.8点、小売業・卸売業 34.1点、金融・保険業34.9点、建設業・不動産業47.2点、医薬品54.4点)。ただ、「長期的なビジョン」、「再エネ目標」の2項目では、全体的に取り組みレベルが低く、後者は全ての企業が無得点だった。

 

 WWFは「運輸業という業種がら、『バリューチェーン』の意識が希薄で、上流・下流も含めて削減に取組む企業は少ないことがわかった」と業種特性を指摘している。

 

 総合点第1位の川崎汽船は、情報開示の評点(50 点満点)で48.6点とほぼ満点を獲得した。2050年に向けた長期の視点を保有し、GHG 排出削減目標を掲げている点も評価された。ただ、目標設定は原単位にとどまり、総量による削減管理を行っていない。「GHG総量目標の難易度」の項目では無得点。

 

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 一方、2位の東日 本旅客鉄道、3位の小田急電鉄は「GHG総量目標の難易度」の項目で満点を得た。また「省エネルギー目標」、「目標の難易度」でも満点だったが、「ライフサイクル全体での排出量把握・開示」でスコアを伸ばせなかった。

 

 業種全体では、海運業が陸運業、空運業と比較して相対的に取組みレベルが高かった。特に、第3者検証による開 示データの信頼性向上の指標は満点で、ライフサイクル全体での排出量把握・開示、省エネルギー目標でも比較的得 点が高かった。

 

 陸運業では総量削減目標を持つ企業が多数あった。その半数は東京都などが条例で定める総量削減義務への対応であり、自治体の政策が企業の目標策定を後 押しする好事例になっている、としている。


 ランキングで下位に位置した企業は、「目標・実績」の評点を見ると0点(満点=50)が3社、15点以下が6社となり、低スコアの原因となった。WWFは、今後の取り組みとして、目標設定の項目をはじめとして、全般的に底上げが必要だ、としている。

 

https://www.wwf.or.jp/file/20181005_climate01.pdf