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ユーグレナ社、バイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラント立ち上げ、総額58億円。2020年の国際航空のCO2規制需要を目指す。本格稼働は2019年春(RIEF)

2018-11-03 23:01:30

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 ミドリムシ(学名:ユーグレナ)で食品からエネルギーまでの開発を進めるユーグレナ(東京都港区)は、横浜市鶴見区の京浜臨海部で日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントを竣工させた。国際民間航空機関(ICAO)の合意で2020年以降、国際航空便からのCO2排出量を増やさないことで合意しており、今後、CO2フリーのバイオジェット燃料への需要が高まることを踏まえた設備増強となる。

 

 ユーグレナの新プラントは、横浜市、千代田化工建設、伊藤忠エネクス、いすゞ自動車、ANAホールディングス、ひろしま自動車産学官連携推進会議(ひろ自連)各社・機関の協力を受けて立ち上がった。バイオジェット燃料の開発は、国連の持続可能な開発目標(SDGs) の第13目標の「気候変動に具体的な対策を」に貢献する取り組みと位置付けられる。

 

 同プラントは、2015年12月1日から各社の協力によって建設が進められていた。製造能力は日産5バレル、製造量は年産125KL(試験の実施状況および保守の発生状況等により数量は変動)。プラントは2019年春より本格稼働する。ユーグレナや廃食油を主原料として、バイオジェット燃料、次世代バイオディーゼル燃料、バイオナフサなどを製造する。

 

バイオジェット・ディーゼル燃料実証プラント
バイオジェット・ディーゼル燃料実証プラント

 
 製造技術は米シェブロンラマスグローバル社(Chevron Lummus Global / ARA社)によるBiofuels ISOCONVERSION Process(通称:BICプロセス)の技術ライセンスを活用する。投資総額は神奈川県、横浜市からの助成金を含めて総額58億円。

 

 同社はプラントの稼働に合わせて、日本をバイオ燃料先進国にすることを目指すGREEN OIL JAPAN(グリーンオイルジャパン)を宣言した。I国際航空便のCO2排出規制措置として有望視されるバイオジェット燃料の導入は、すでに米国、EU主要国、カナダやオーストラリア、シンガポール、タイ、中国やインドなどの国々で進んでいる。

 

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 これに対して、日本では、これまでバイオジェット燃料を使用した有償飛行は実現しておらず、世界に対して遅れているのが現状だ。導入が進まない背景には、政策規制の弱さがある。

 


 自動車用バイオ燃料の場合は、米国では2022年までに自動車用燃料全体の約18%、EUでは2020年までに10%とすることを国の目標に明記している。これに対して、日本ではガソリンとディーゼル代替のバイオ燃料の導入目標は2022年までで年間数%程度に抑えられている。

 

 ユーグレナを含む協力企業グループでは、今回竣工したプラントで製造する国産バイオジェット燃料での有償飛行を、2020年までに実現するほか、2019年夏からは実証プラントで製造した次世代バイオディーゼル燃料を供給する予定。

 

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 『GREEN OIL JAPAN』宣言では、2020年までに実証プラントで製造したバイオ燃料を陸・海・空における移動体に導入するのをはじめ、2030年までにはバイオ燃料を製造・使用するサポーターを日本中に広げて、バイオ燃料事業を産業として確立する目標を掲げている。

 

 2025年までに25万KL/年のバイオジェット・ディーゼル燃料を100円/Lで製造する商業生産体制を整え、2030年までには、バイオ燃料100万KL/年を供給することを目指している。

 

・『GREEN OIL JAPAN』宣言 http://euglena.jp/greenoiljapan

 

https://www.euglena.jp/news/20181102-2/

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