HOME |米カリフォルニア州の昨年の山火事被害で、同州の大手電力会社PG&E社、破産申請の危機に。負債総額数10億㌦の可能性も。温暖化の影響が企業経営に直接の打撃(各紙) |

米カリフォルニア州の昨年の山火事被害で、同州の大手電力会社PG&E社、破産申請の危機に。負債総額数10億㌦の可能性も。温暖化の影響が企業経営に直接の打撃(各紙)

2019-01-07 16:02:24

yamakajiキャプチャ

 

 各紙の報道によると、米カリフォルニア州の電力大手PG&Eは、2017 年に続き、18年にも発生した大規模な山火事の影響で、同社の事業の一部または全事業が大きな打撃を受けたことから、破産申請を検討しているという。負債総額は数10億㌦規模にのぼるとみられる。温暖化の影響で拡大する被害が企業経営に直接影響を及ぼした格好だ。

 

 ロイターなどが報道した。それによると、現時点では、破産の申請は確定していない。しかし、カリフォルニア州北部の火事の原因が同社送電線などの設備にあることが判明すれば、保険のカバーを超える相当な負債を抱える恐れがある。

 

yamakaji2キャプチャ

 

 株式市場では大きな被害を出した昨年11月以降、同社の株は経営の先行きを危ぶむ見方が先行し、急落したままとなっている。関係筋によると、同社の傘下にある保険業やガス部門の売却も検討しているとされる。

 

 現在、PG&Eはカリフォルニア州や同州の議員らと対応を進めているとされる。山火事関連の負債を顧客のコストに転嫁することを認める法律によって支援を受ける可能性もある。一方で、破産手続きの準備も同時並行的に進められている。先週末現在では、破産を前提としたDIPファイナンス(事業再生融資)の交渉にはまだ入っていないという。

 

yamakaji3キャプチャ

 

 11月8日朝、同州のパラダイス近郊発生した「キャンプファイア」火災では少なくとも86人が死亡しており、州史上最悪の山火事となった。PG&Eは17年の火災でも焼失した家屋などの所有者から数十件の訴訟も起こされている。州議会は山火事関連のコストの一部を顧客に転嫁する法律を可決させたが、18年の火事はこの法律の対象外とみられる。

 

 PG&Eは2001年にも、同州のエネルギー危機の影響で破産申請した。高騰した電力の調達で巨額の負債を抱えたが、当時は電気料金の値上げで顧客にコストを転嫁する法律がなかったため、破産を選択せざるを得なかった。その後、04年に破産法適用から脱却していた。今回の山火事による多額の被害の発生は、温暖化の進行によって被害の発生頻度が高まっていることも影響しているとみられる。

 

https://www.reuters.com/article/us-pg-e-us-bankruptcy-exclusive/exclusive-california-utility-pge-explores-bankruptcy-filing-sources-idUSKCN1OY225