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東京ガス、九州電力、出光興産3社による千葉・袖ヶ浦石炭火力発電所、LNG燃料へ切り替え決断へ。新規建設石炭火力の断念・変更は10基目(各紙)

2019-01-30 13:52:40

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  各紙の報道によると、東京ガスと九州電力、出光興産の3社は、千葉県袖ケ浦市で計画していた石炭火力発電所の新設計画を変更し、燃料を石炭から液化天然ガス(LNG)に転換する方針を明らかにした。月内にも正式決定する見込み。温暖化を加速する石炭火力発電の新規建設計画の中断・変更は10基目。東京湾周辺では3基目となる。

 

  (写真は、袖ケ浦にある東ガスのLNG基地)

 

 首都圏では、一昨年8月に東燃ゼネラル石油と関電エネルギーソリューションが市原火力発電所計画を断念したほか、昨年末には、中国電力とJFEスチールが千葉市での蘇我火力発電所の建設を中断している。今回の計画見直しについて、東ガス等は「石炭は、LNGに比べて価格が安いが、環境対策などで建設費用が膨らみ、将来的に採算が見込めない」と判断したという。

 

 当初の計画では、袖ケ浦市にある出光の遊休地に3000億円規模で出力200万kW級の最先端の石炭火力発電所の建設する内容だった。出力は最大で原発2基分に相当するもので、首都圏最大の発電力になる見通しだった。その後、石炭火力に対する温暖化加速の批判が高まったことなどから、昨年夏以来、当初計画を出力100万kW級のLNG発電所へ切り替える代替案を検討してきた。http://rief-jp.org/ct4/81684

 

 最大の課題は、燃料転換によるコストアップだ。LNGの燃料費は石炭を上回るため、長期間稼働するとコストが膨らむ。ただ、東ガスは建設予定地の近くにLNG受け入れ基地を保有することから、同基地からガスパイプラインを敷設することで、燃料調達コストを低減できる魅力もある。同時に、木質ペレットなどバイオマスと石炭を混焼する発電方式への転換も比較検証したが、こちらも発電所の建設費や燃料の調達コストは増えることから、相対的に合理的なLNGへの燃料転換を目指すこととした模様だ。

 

ガスタービンの場合、石炭ボイラーよりも起動が早い、というメリットもある。売電だけでなく、出力が不安定な再生可能エネルギー電力を補完する電源としての期待も大きい。東ガスは関東で電力小売事業を強化しており、自社発電所の建設を急いでいる。

 

 環境NGOの気候ネットワーク(KIKO)によると、2012年以降、国内で計画された石炭火力発電所新規建設計画50基のうち、これで10基が中止・変更となった。稼動は10基、残りの30期は建設中もしくは計画継続中となっている。中止・変更と稼動が同数で並んだ形だ。

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190130&ng=DGKKZO40626360Z20C19A1TJ1000

https://www.kikonet.org/