HOME8.温暖化・気候変動 |ホッキョクグマが、大量に住居圏に移動。ロシア北東部のノバヤゼムリャ列島。温暖化による海氷減少で、食糧難に。彼らも「温暖化難民」といえる(各紙) |

ホッキョクグマが、大量に住居圏に移動。ロシア北東部のノバヤゼムリャ列島。温暖化による海氷減少で、食糧難に。彼らも「温暖化難民」といえる(各紙)

2019-02-12 12:12:25

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   各紙の報道によると、北極圏にあるロシア北東部のノバヤゼムリャ列島(Novaya Emlya)で、多数のホッキョクグマが、住宅地などに出没する事態が増え、地元当局は非常事態宣言を発令した。温暖化で北極海の海氷が減少、エサのアザラシ等の捕獲が困難になっていることから、食料を求めて出没しているとみられる。

 

 タス通信が伝えた。ノバヤゼムリャ島では昨年12月以来、ホッキョクグマが頻繁に出没するようになった。最大の入植地ベルーシャグバ(人口約2500人)では50件以上の目撃情報が寄せられている。

 

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   地元当局者によると、ホッキョクグマが人を襲ったり、住宅や公共施設の建物に侵入したりする被害も続出しているという。ベルーシャグバには常時10頭ものクマが住み着いているとの報告もある。このため地元当局は9日に非常事態宣言を出した。

 

 ノバヤゼムリャ島には、ロシア空軍や防空部隊が拠点を置いているがクマは駐屯地内にも常に姿を現すという。車両や犬を使ったパトロールなどを行っても、クマはすぐに慣れて、怖がらなくなり、反応しなくなり、効果がないという。

 

 国防省によると、今年1月、使われなくなったノバヤゼムリャの軍事施設にクマが住み着くようになったため、建物数百棟を取り壊したことを明らかにしている。

 

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 ベルーシャグバの副首長は、「人々はおびえ、外出を怖がっている。親は子どもを学校や幼稚園に行かせることさえ恐れている」と語っている。日常生活に支障が生じている。ロシアでは、ホッキョクグマは絶滅の危機に瀕(ひん)しているとして狩猟が禁じられている。

 

 ホッキョクグマがこれほど、人間の生活領域に入り込んできたのは、生息地としている北極圏の海氷が気候変動の影響で年々縮小し、陸地で過ごす時間が長くなったためといえる。特に、えさとなるアザラシの捕獲は海氷上で行うため、食糧難に陥っているとみられる。

 

 世界自然保護基金(WWF)は人とクマの遭遇を避けるため、北極圏地域でパトロールなどの対策を支援しているほか、騒音を出す装置を置いたり、公共の場の照明を明るくするなどの対策を進めている。また、クマが街に出没した場合に人間の安全を確保するため、ゴム弾を使うこともあるという。しかし、クマたちはすぐに慣れて、容易には立ち去ろうとしない。

http://www.afpbb.com/articles/-/3210504?cx_part=top_category&cx_position=1

https://www.cnn.co.jp/world/35132575.html