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建築物省エネ法改正案、閣議決定。建物の省エネ基準の適用対象を、床面積300㎡以上の中規模建物にも拡大。大手事業者の注文建築等も。2021年度から適用(RIEF)

2019-02-15 12:22:34

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 政府は15日の閣議で、新築のオフィスビルの省エネ基準への適合を義務付ける建築物省エネ法改正案の国会提出を決定した。現在の省エネ基準の適用は、延べ床面積2000㎡以上のオフィスに限っているが、これを300㎡~2000㎡の中規模建物にも拡大する。義務化の実施は2021年度からの見通し。オフィスビルなどが使用する光熱費等の削減で、温暖化対策の推進につなげる狙い。

 

  (写真は、建物の省エネ効率を高める二重ガラス窓。、三重ガラス窓もある)

 

 国土交通省は今回の法改正の趣旨について「パリ協定を踏まえた温室効果がスの削減目標達成のため」としている。

 

省エネ基準拡大の対象には既存のビルや、住宅などは含まれない。ただし、新築住宅については、現在は建物住宅を供給する住宅事業者が対象となっているが、この枠を拡大し、大手事業者が手掛ける注文住宅や賃貸アパートにも広げる。マンションは今回の規制拡大の対象には含まないが、届出時の計画審査を厳格化するとしている。

 

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 また基準適合の注文住宅、賃貸アパートを供給する大手住宅事業者に対しては、トップランナー基準(法的な省エネ基準を上回る基準)への適合を評価するトップランナー制度を導入、省エネ住宅の競争を促す。

 

 建築物の省エネ基準を強化すると、建築主は、壁面の断熱化や二重ガラス窓、LED、空調の高度化などの追加投資が必要になる。ただ、国土省の試算では、そうした省エネ化投資費用は、建物全体の総建設コストの1.5%にとどまるとしている。

 

 今回、対象となる中規模建物の年間の新築着工件数に占める割合は、全体の3%弱(2017年度)で、件数にして1万4000件強。このうち、すでに改正基準への適合率は90%を超えているとされ、制度強化による実質的な影響は少ないとみられる。

 

 またESCO事業のように、効率のいい発電や熱供給設備を複数の建物で共同利用する計画などに対しては、容積率の特例を設けて、街区単位での省エネ化促進を支援する制度も導入する。

 

 国のエネルギー基本計画では、2020年までに新築住宅・建築物について段階的に省エネ基準への適合義務化を進める、としている。今回、対象からはずれた小規模建物(300㎡未満)とマンションなどの住宅への義務化が今後の焦点となる。

http://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_000846.html

http://www.mlit.go.jp/common/001273251.pdf