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中米コスタリカ、アルバラド大統領が2050年に国全体を「グリーン&排出ゼロ経済」に切り替え宣言。自動車等運輸部門の低炭素化を含め、10項目の行動計画公表(RIEF)

2019-02-27 00:08:32

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 中米コスタリカのカルロス・アルバラド・クエサダ大統領は、2050年に国全体を「グリーン&排出ゼロ経済」とする脱炭素計画を公表した。運輸、建物、重工業の各部門で化石燃料使用をゼロと擦ることを目指すもので、グリーン経済成長のための、短期中期長期の行動計画を盛り込んだ。

 

 アルバラド・クエサダ大統領は昨年5月に就任、すでに電力部門をほぼ100%再生可能エネルギー(推力中心)を実現している同国で、「ガソリンやディーゼル依存の輸送体制からの独立」を宣言していた。今回の脱炭素計画は、大統領就任後初めて、具体的な行動計画を示す形となる。http://rief-jp.org/ct10/78541

 

 大統領は、排出削減の数値目標を高く掲げる代わりに、経済セクター全体で10の集中分野を制定した。①運輸&サステナブルなモビリティ②エネルギー、グリーンビルディング、産業③統合的廃棄物マネジメント④農業、土地利用変化、自然に元づくソリューションーーの4項目のうち、③以外についてそれぞれ3分野をあげている。

 

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 これ等の行動計画を達成するために、グリーン税制改革を進めるほか、デジタル化、外国からの直接投資導入の新たなアプローチ、透明性と教育の拡大等の政策強化を実施する。

 

 大統領は「コスタリカは、脱炭素化が、われわれの世代にとっての大きな仕事であることを理解している。我々はそれを世界で最初に達成する国になりたい。脱炭素化を国家発展、公共投資、長期戦略計画それぞれの基本に据えて進めていく」と宣言している。

 

 コスタリカはこれまでも、2021年までに電力部門のカーボンニュートラルを宣言しており、あと2年に迫っているが、すでに電力は95%を水力発電中心の再エネ電力でまかなっている。ただ、運輸部門は古いディーゼル列車のほか、自動車も電気自動車よりディーゼルエンジン、ガソリン車などが多く、同国のCO2排出量の54%を占めている。

 

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 また、同国はクリーンエネルギーや環境に優しい国づくりを楽しむ海外からのエコツーリズムの広がりで、鉄道等の利用増でCO2排出増を招いてきた。再エネ推進等のエコの普及が、エコツーリズムの増加でCO2増につながるパラドクスが起きている。

 

 コスタリカ出身で、前国連気候変動枠組み条約事務局長を務めたクリスティーナ・フィゲレス氏は、「世界の他の国が追随すべき素晴らしい事例となる」と称賛している。

 

 焦点となる輸送部門では、政府は2050年までに軽車両の60%を排出量ゼロとする方針。新車似ついては全車にネットゼロを適用する。また貨物自動車の4分の1については、2035年までに電化を完了させる。

 

 また貨物輸送からの排出量を2050年までに、18年比で20%削減すること、すべての新規建設ビルディングについては2030年までに低炭素化を実現するとし、エネルギー多消費産業は2050年までに企業としての成長と排出との関連性を断ち切ることを打ち出している。

https://ja.scribd.com/document/400404187/Decarbonization-Plan-Costa-Rica