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オランダ政府、昨年10月の「気候訴訟」敗訴を受け、温室効果ガス排出量25%削減を来年に実現のため、国内の石炭火力発電廃止計画を前倒し。来年中に1基停止へ(RIEF)

2019-03-08 08:57:14

Netherlandlandキャプチャ

 

    オランダ政府は、国内に5基ある石炭火力発電所のうち1基を来年中に停止する。昨年10月に、国の温暖化対策の不備を争った「気候訴訟」で敗訴、「2020年末までに温室効果ガス排出量を1990年比で少なくとも25%削減する」との判決を受けたことへの対応だ。当初の停止予定を4年前倒しする。

 

  (写真は、政権発足時のオランダのルッテ内閣)

 

 停止が見込まれるのは、首都アムステルダムにある「Hemweg plant」。1994年稼動で、スウェーデンの電力会社Vattenfallが保有している。同国は今月20日に総選挙が予定されるが、マルク・ルッテ首相率いる自由民主国民党(VVD)は上院で劣勢を伝えられており、気候訴訟に基づく政策転換をアピールする狙いもあるようだ。

 

 オランダの気候訴訟は、環境NGOのUrgenda財団が約866人の市民とともに、同国の温暖化対策が不十分として、2013年に訴訟を提起。効果的な温暖化対策を実施するには、2020年までに40%削減(90年比)が必要と主張して政府と争った。

 

来年廃止されるHemの火力発電所
来年廃止されるHemwegの火力発電所

 

 2015年の一審判決、昨年の控訴審とも原告の主張に軍配をあげた。控訴審も、2020年までに25%削減を政府に命じた。http://rief-jp.org/ct8/83611 同裁判は各国での気候訴訟の原型になっている。

 

 一審判決後に同国政府は、国内の石炭火力発電5基を2030年に全部閉鎖する決定を打ち出した。ただ、今年の初めには、このままでは来年の削減比率は21%止まりで、25%削減を達成できない見通しだった。そこで今回、うち1基を前倒して停止し、目標の25%削減確保の達成を優先したとみられる。

 

 これまでの同国の石炭火力フェーズアウト計画では、国内に残る最も古い石炭火力発電2基を2024年までに停止し、残りの5基は2030年まで稼働させる計画になっている。Hemweg 発電所を停止することで、CO2排出量は200万㌧減少する。

 

 ただ、来年中に公約通りの25%削減を実現するには、CO2換算で900万㌧の削減が必要。差し引き700万㌧の達成のためには、さらにもう一基火力発電の稼働を止めるか、自動車の速度制限、家庭の断熱等の省エネ措置のさらなる拡大などの追加措置が必要になるとみられている。

 

 同国政府は、こうした対応の積み上げによって、来年4月には25%削減を達成できる計画を提出したい、としている。さらにそのほぼ同時期に、2030年までのCO2排出量半減目標を決定する考えだ。そのうえで、2050年までにCO2排出量をゼロとするカーボンニュートラルを実現するシナリオだ。

 

 問題は石炭火力発電停止措置の前倒しの一方で、ルッテ内閣にとっては、対策費用を上積みして確保することと、発電所従業員の雇用対策、再エネ等での電力補填等の課題を解決する必要がある。総選挙で勝利して政権を維持できればの話だが。

 

https://www.government.nl/government/members-of-cabinet