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東京電力、気候リスク開示のTCFD勧告に署名。日本勢では79社目。「国内エネルギー企業では初」と同社。原発の廃炉リスク、補償責任も明確化を(RIEF)

2019-04-23 22:05:04

tepco111キャプチャ

 

 東京電力ホールディングス(HD)は23日、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の勧告への支持表明を行ったと公表した。同勧告への日本企業・機関等の支持表明としては79社目だが、同社は「国内エネルギー企業として初めて」と強調している。

 

  (写真は、東電の鹿島火力発電所)

 

 東電はTCFDへの支持表明について「基幹エネルギーの供給を担う当社の事業は、社会的影響が極めて大きく、その責任と社会的使命は限りなく重い。エネルギー事業を通じて、ESGに関する社会的課題の解決に貢献することが、当社の企業価値向上と持続可能な成長に繋がると考える」と説明している。

 

 同社は、1月に小早川智明社長を委員長とする「ESG委員会」を社内に設置、今月にはESGの専任組織である「ESG推進室」を新設している。ESGの担当役員には副社長(CFO兼ESG担当兼社長補佐)の守谷誠二氏が就任している。

 

東電が首都圏で抱える火力発電所群
東電が首都圏で抱える火力発電所群

 

 守谷氏は「わが社は、気候変動問題に関する事業リスクがある一方、再生可能エネルギーを活用したCO₂フリーの料金メニューの提供などによる新たな事業機会もある。こうした気候変動によるリスク・機会に適切に対応するためのフレームワークであるTCFD 提言に沿った情報開示を進め、ステークホルダーとの対話を重ね、事業活動へ反映していく」とコメントしている。

 

 各地に火力発電所等を抱える東電が、気候変動対応に前向きに取り組むのは当然だ。TCFD勧告に沿って、各火力発電による気候変動に伴う財務的影響の明示作業を期待する。またESG重視をうたうなら、福島原発の廃炉リスクへの対応、被害住民への賠償・補償などの社会的責任も、しっかりと果たす必要がある。現時点では、TCFD署名をもって、同社をESG重視企業とみなす投資家がいるとは思えない。

http://www.tepco.co.jp/press/release/2019/1514378_8709.html

http://www.tepco.co.jp/press/release/2019/pdf2/190423j0201.pdf