HOME10.電力・エネルギー |東電・中電共同の「JERA」による横須賀市での石炭火力発電所計画。「環境アセス手続きに誤り」。国の認定取り消し求め行政訴訟、住民らが27日提訴。石炭火力中止要請訴訟は神戸市に次ぎ2件目(各紙) |

東電・中電共同の「JERA」による横須賀市での石炭火力発電所計画。「環境アセス手続きに誤り」。国の認定取り消し求め行政訴訟、住民らが27日提訴。石炭火力中止要請訴訟は神戸市に次ぎ2件目(各紙)

2019-05-23 12:14:54

yoiosuka1キャプチャ

 

 各紙の報道によると、神奈川県横須賀市で東京電力と中部電力が共同出資で設立した電力会社「JERA」が推進する石炭火力発電所建設計画に対して、環境影響評価(アセスメント)の手続き不備を理由に、周辺住民らが27日、計画を認めた国の「確定通知」の取り消しを求める行政訴訟を東京地裁に起こす。石炭火力建設中止を求める行政訴訟は神戸市に続き全国で2件目、首都圏では初めてになる。

 

 (写真は、JERAの石炭火力建設予定地、東京新聞から)

 

 東京新聞が報じた。JERAの建設計画によると、2017年まで操業していた石油燃焼の火力発電炉を廃止した跡地に、2基計130万kWの発電出力を持つ石炭火力発電所を建設するという。稼動時期は2023年以降を目指している。

 

 同社は建設計画を「既存の火力発電所の更新」と位置付け、国のガイドラインに基づいて環境アセスメント期間を短縮した評価書を昨年11月に経済産業省に提出している。世耕弘成経産相は同月、「環境への影響を適切に配慮している」などと判断し、評価書の変更を求めない確定通知を同社に送った。国がお墨付きを与えた形だ。

 

 これに対し建設予定地周辺の住民側は、以前の石油燃焼の発電炉が2010年からほぼ全面的に停止していた実態を指摘。「建設計画は更新ではなく、新設といえる。したがって環境アセスの期間短縮は法的に認められないもの」などとして、世耕経産相の判断自体に誤りがあると主張している。

 

 また石炭火力発電は最新の設備でも「CO2排出量が天然ガスの2倍以上になり温暖化を加速する」と指摘。JERAが環境アセスで石炭以外の原料や再エネ発電等を代替案として検討しなかったのも、パリ協定を推進する国際公約をしている国の方針に反するうえに、周辺地域に大気汚染被害をもたらすと強調している。

 

 提訴する住民の中心メンバーの鈴木陸郎さん(77)は「石炭火力発電所が建設されると、周辺地域の住民への健康被害が心配だ。CO2も多く排出され、将来の世代にわたって影響は大きい。建設はやめるべきだ」と話している。経産省電力安全課は提訴について「情報が無くコメントできない」としている。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201905/CK2019052302000157.html