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2018年の世界のCO2排出量は、前年比2.0%増。2010年以来の高い伸び。石炭需要も2年連続でプラス。エネルギー消費需要の増加を反映。CO2削減の効果的な実行策が求められる(RIEF)

2019-06-27 08:00:26

BP11キャプチャ

 

 世界の2018年のCO2排出量は前年比2.0%増と、2010年以来の増加度を示した。英エネルギー大手BPの世界エネルギー統計で明らかになった。CO2排出量増加の影響は、世界全体でエネルギー需要が前年比2.9%増と高まったため。石炭需要は2017年まで3年連続で減少していたが、17年に続いて18年も2年連続で増加した。温暖化対策強化の必要性が強調されながらも、実体経済のエネルギー多消費型構造は変わっていない。

 

 BPが毎年公表している「Statistical Review of World Energy 2018」(第68編)によると、世界全体のCO2排出量は338億9080万㌧で前年比2.0%増。2%台の伸び率乗せは、2010~11年以来。過去10年平均よりも倍の伸び率を記録した。

 

 CO2排出量がもっとも多かったのは中国で94億3870万㌧(前年比2.2%増)。全体の27.8%を占める。次いで米国の51億4520万㌧(同2.6%増)。割合は15.2%。3番目はインドの24億7910万㌧(同7.0%増)。比率は7.3%。

 

エネルギー消費量の増加とCO2排出量の推移
2018年のエネルギー消費量の伸びとCO2排出量の伸びの過去比較

 

 日本は11億4840万㌧(同2.0%減)で全体の比率は3.4%と、ロシアに次ぐ5位。決して地球の温暖化への影響のウエイトは低くないのだ。ただ、CO2排出量自体は、2012年以降、わずかずつだが減少を続けている。

 

 国別でもっともCO2排出量の伸び率が高かったのはベトナム(14.8%増)。次いでイラク(13.3%増)、カザフスタン(12.9%増)、バングラデシュ(9.3%増)、トルクメンスタン(同)。景気が活発な国が多い。

 

 逆に減少が著しかったのは、ベネズエラ(13.2%減)、ポルトガル(5.7%減)、ドイツ(4.8%減)など。ベネズエラは経済急低迷の影響で、ポルトガル、ドイツは温暖化対策の効果とみられる。

 

国別の第一エネルギー使用量
国別の第一エネルギー使用量

 

 CO2排出量増大の要因はエネルギー需給の変動が大きい。グローバルなエネルギー需要は、石炭から天然ガス、再生可能エネルギーにシフトしているのは確かだが、2018年はエネルギー需要全体の伸びに押されて、石炭の消費(前年比1.4%増)、同生産(同4.3%増)と2年連続の増加基調に戻っている。1.4%増の消費の伸びは、過去10年平均の倍の伸び率だ。

 

 石炭消費が伸びているのはインド、中国で、OECD諸国の消費需要は1975年以来、もっとも低かった。ただ、一次エネルギー全体に占める石炭の比率は27.2%で過去15年間で最低の比率に下がった。エネルギー消費全体の伸びを吸収したのは、天然ガス。

 

 天然ガスの消費量は前年比5.3%増と、1984年以来でもっとも伸びの高い年の一つだった。天然ガス消費量が最も多いのは米国(780億㎥)、次いで中国(430億㎥)、ロシア(230億㎥)の順。生産量も5.2%増。生産量の多いのはシェールガス開発が進む米国。

 

BP1キャプチャ

 

 石油の消費量は、日量平均を140万バレル(b/d)上回った。比率にして1.5%増。国別では中国が最も多く、次いで米国。生産は220万b/dの増加で純増分の大半は米国のシェール石油の増産による。

 

 再生可能エネルギー電力は14.5%増と、17年の伸び率に続いて高い伸びを続けた。風力発電が3200万㌧、太陽光発電3000万㌧とほぼ同水準。国別では中国の再エネ伸び率が最大で、OECD全体の伸び率を上回った。

 

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