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仏エネルギー大手Total、気候変動対策で毎年1億㌦を森林保全・再生プロジェクトに投資。森林の吸収力を高める

2019-07-08 11:45:00

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  仏エネルギー大手トタル(Total)は気候変動対策の一環として、森林保全と再生プロジェクトに毎年1億㌦(約110億円)を投じる方針を打ち出した。CEOのパトリック・プヤネ(Patrick Pouyanne)氏が明らかにした。


 
 プヤネ氏は、南仏エクサンプロバンス(Aix-en-Provene)で開いた経済問題をテーマにした会議で、同社に森林保護プロジェクトに投資する事業部門を設立する考えも述べた。

 

 同氏は「炭素の除去で最も効率的な方法は現時点で森林の再生だ。1㌧当たり10㌦未満で対応できる」と指摘。「これは慈善活動( philanthropy)でなく、中長期的な投資」と位置付けた。「地球に良い効果をもたらすには、長期にわたり継続する必要がある」とした。

 

TotalのCEO、氏。
TotalのCEO、プヤネ氏。

 

 大規模な森林再生がCO2吸収に効果的、との研究は、最近の科学誌サイエンス(Science)電子版に掲載されたスイス連邦工科大学チューリヒ校(ETH Zurich)の森林再生の有効性を分析した論文でも示されている。それによると、地球上で9億haの森林再生ができれば、年2050億㌧のCO2を吸収できるという。

 

 これは、人間の活動に基づくCO2排出量の3分の2を吸収できることを意味する。その結果、地球全体の大気中のCO2濃度を100年近く前の水準にまで下げることが可能と指摘している。ただ、研究チームが指摘する森林再生面積は、米国全土と同じ面積に相当する。どこにそうした土地を確保できるのか、という批判も出ている。

 

 トタルは森林再生計画の一方で、南仏マルセイユのラ・メードで、旧石油製油所を転用したバイオ燃料工場を、このほど稼働させた。欧州最大のバイオ燃料工場で、原料を輸入パーム油に頼ることから、環境NGOや農民たちから激しい批判を受けている。

 

 気候変動対策を求めるスウェーデンの16歳の少女、グレタ・ツゥーンベリさんはツィッターで次のようにコメントしている。

 

「もちろん、私たちはできるだけ多くの植林が必要だ。もちろん、既存の樹木をそのまま維持し、できるだけ再生すべきだ。しかし、(Totalが)やらねばならないのは、温室効果ガスの排出量を止めることであり、化石燃料を大地にとどめる以外にない」と、エネルギー会社がとるべき気候変動対策を、はき違えないよう、指摘している。

 

https://theworldnews.net/za-news/fin24-com-total-announces-new-unit-to-invest-in-forests