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国連の「緑の気候基金(GCF)」、新たに途上国のグリーン事業10件総額2億6690万㌦の投資を決定。三菱UFJ銀行アレンジのチリの海上揚水発電事業も含む(RIEF)

2019-07-10 17:00:39

GCF1キャプチャ

 

  国連の「緑の気候基金」(The Green Climate Fund :GCF)は、途上国向けグリーンプロジェクト10件、総額2億6690万㌦(約293億円)の投資を決めた。GCFの投資を条件とする共同ファイナンスを合わせ、総額14億㌦(約1540億円)以上を低炭素、気候適応事業等を支援する。

 

  (写真は、GCFの理事会の模様。㊧は事務局長のYannick Glemarec氏)


 GCFの本部がある韓国ソンドドンで開いた第23回理事会で決定した。対象事業は、三菱UFJ銀行が認証機関としてアレンジしたチリでの海水揚水発電所と太陽光発電所の併設事業(拠出額6000万㌦)を含む10事業(短期承認事業を含む)が認められた。http://rief-jp.org/ct1/91655

 

 対象国は、ブータン、パキスタン、東ティモール、エクアドル、ホンデュラス、マーシャル諸島共和国、ケニア、ガーナ、チリ、ジンバブエの各国。

 

 GCF2キャプチャ

 

 今回のGCFのファイナンス供与によって他の国際公的金融機関や民間金融機関等の共同ファイナンスが実現し、総額14億5160万㌦が対象途上国のグリーン事業に投じられることになる。この結果、GCFのグリーン投資ポートフォリオは世界99カ国の111の事業を対象に、総額52億3000万㌦を拠出したことになる。

 

  また今回の理事会では、反マネーランドリングとテロリズムへの対応の新たな基準を採択した。さらにブラジル、ウガンダ、ガーナ、ベルギーの4カ国の金融機関・政府機関が認証機関として追加された。

 

 パリ協定の目標実現のためには、途上国での経済成長とバランスのとれた温暖化対策事業の進展が求められる。GCFはその役割を果たす先進国拠出の国際機関だが、当初の拠出約束額の102億㌦のうち、米国は分担金30億㌦のうち10億㌦をオバマ政権時に拠出したが、トランプ政権になって残りの20億㌦の凍結を宣言している。

 

 したがって同基金は実質的には80億㌦しかなく、すでにその65%分を拠出したことになる。このため、米国以外の拠出国間で追加拠出の議論が進められており、年末にかけて合意が期待されている。

 

 ただ、温暖化対策資金の増額を求める途上国側と、資金負担の増大に慎重な先進国間の調整等が必ずしも容易ではなく、昨年夏には前任の事務局長が突然辞任する事態も招いている。現在、増資を明確に宣言しているのは、ノルウェーだけ。同国は現行の出資額4640万㌦を2020年に倍増させるとしている。http://rief-jp.org/ct8/80684

https://www.greenclimate.fund/what-we-do/newsroom/press-releases