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フランス、航空便に気候変動対策の環境税。エコノミーの国内便は約180円、国際便は約375円。税収は地上の鉄道網等のグリーン化整備に充当。2020年の実施目指す(RIEF)

2019-07-10 11:34:34

AIRFranceキャプチャ

 

  フランス政府は、航空便の乗客に気候変動対策のための環境税を課す計画を公表した。2020年からの実施を目指す。課税額はエコノミークラスの場合、フランス国内およびEU域内の航空便で1.50ユーロ(約180円)、日本などEU域外便は3ユーロ、ビジネスクラスはそれぞれ9ユーロ、18ユーロとする予定。

 

 フランスでの乗継便や、地中海のコルシカ島、フランスの海外領土などへの便は対象外とする。

 

 ボルヌ交通担当相によると、航空機の乗客への課税は、すでに英独などで実施しており、さらにスウェーデンやオランダも環境対策を目的とした同様の課税を検討中という。

 

 課税が実現すると、年間1億8200万ユーロ(約227億円)の税収が見込めるとしている。これらの税収はCO2排出量が飛行機より少ない鉄道ネットワークの整備など、輸送網のグリーン化に充当するとしている。

 

 今回の航空便への環境税課税案は、昨年以来、自動車の燃料税増税がきっかけとなって、今も同国内で抗議行動が続いている「黄色いベスト運動」への対応の一環として出てきた。

 

 マクロン政権は温暖化対策を推進するため、ガソリン車、ディーゼル車の燃料税を引き上げようとした。だが、公共輸送機関が少ない同国で自動車移動に頼る地方住民を中心に抗議の輪が広がり、全国的な反マクロン運動に発展した。

 

 「黄色いベスト運動」の参加者は、生活密着の自動車への課税より、より裕福な人が週末休暇に利用する航空機に課税していないのは問題、と不満の声をあげた。今回の航空機乗客への課税は、こうした反発への「わかり易い説明」と、マクロン政権の税収確保の狙いから浮上したとみられる。

 

 運輸分野のNGOの「Transport & Environment」 のキャンぺーナー、Andrew Murphy氏は「最初の一歩としては良いニュースだ。ただ、税率はもっと引き上げるべきだし、課税は、航空機からのCO2排出量を削減する政策の実施によって担保されねばならない」と指摘している。

 

 6月に開いたEUの財務大臣会合では、航空便は温室効果ガス排出量が急増しているセクターの一つとの認識で一致。フランス以外の国でも、同様の航空便課税の検討の声があがったという。