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温暖化の影響で、北極圏で生息するトナカイが、大量死。冬季の降雨増加で食料不足に。ノルウェー最北端のスヴァールバル諸島で(RIEF)

2019-07-30 15:49:03

Reindeer11キャプチャ

 

  温暖化の影響で、北極圏に生息するトナカイが今冬の間に、約200頭もまとまって死亡していたことがわかった。研究者らは、冬季に異例の降雨が頻繁にあったため、雪を氷で包んでしまう現象が発生、トナカイが雪の下から冬季のエサとなる草等を掘り出せなくなって、餓死したとみられている。温暖化の影響はあらゆる生態系に異変を及ぼしていることを示す一例といえる。

 

 トナカイの大量死が見つかったのは、ノルウェーの最北部のスヴァールバル諸島。北極点から1200km離れた地点で、毎年のトナカイの頭数調査を実施するため、同島を訪ねたノルウェー北極機関(NPI)の研究者らが、発見した。

 

 発見されたトナカイは、いずれも白骨化しており、餓死したとみられる。冬の間に死亡するトナカイは毎年いるが、200頭もの死亡数は過去40年にわたる調査では、2007~8年の冬に一度発生して以来という。調査の責任者のAshild Onvik Pedersen氏は「これほど高い死亡は、北極圏の気温上昇が、地球全体よりも2倍のスピードで進行していることの結果だ』と指摘している。

 

 一方で、温暖化の進行で、夏季には気温が通常よりも上昇し、食料が豊富になることから、トナカイの繁殖が盛んになり、頭数が増大している。しかし、一定の生息地にトナカイの頭数が増えると、年間を通した食料の確保が難しくなる。そうした一時的な頭数の増大もトナカイ餓死増加の要因のひとつになっているとみられる。スヴァールバル諸島のトナカイの頭数は、1980年代に比べると、現在は倍の2万2000頭に増えている。

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