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インド・パンジャブ州の自治体、住民の銃所持許可の条件に、苗木10本植樹を付与。苗木と申請者の写真提出とともに、1ヵ月後の生育状況も確認(RIEF)

2019-08-02 18:19:03

Indian1キャプチャ

 

 インド北部のパンジャブ州にある自治体がこのほど、銃の所持を希望する人への許可基準として、苗木10本を植えることを義務付ける取り組みを開始した。実際に植樹をしたかどうかを証明する自分自身の植樹風景の写真を申請書類に付けて提出するという。

 

 (写真は、銃所持許可のために提出された申請用の苗木植樹写真)

 

 世界でも珍しい銃所持の許可条件が示されたのは同州フィロズプル(Ferozepur)県。同県によると、「パンジャブ州の住民はスマートフォン、大型車、銃の保有に目がない。そこで植樹にも夢中になってもらおう」との発想で、考え出されたという。

 

インドの銃所有者は多い
インドの銃所有者は多い

 

 新制度は6月5日の「環境の日」に合わせて始まった。新制度発足後、同県での銃所持許可の申請者はすでに100人を超えており、実際に全員が苗木10本の植樹を行ったので、1000本の苗木が新たに植えられたことになる。植樹をした申請者のうち20~25人には、すでに銃所持の許可が下りているという。

 

   申請を得た人は、申請書を「提出してから1カ月後、自分が植えた苗木の写真を再度撮影して、県に提出しなければならない。きちんと世話をしているかどうかも問われる。世話をしていることが確認されると、申請者の書類は、ようやく「検討」の段階に移行し、身元確認などの通常の手続きが進むことになる。

 植樹する樹木は、地元の固有種であるKikar(アラビアゴムモドキ)やneem(インドセンダン)など。パンジャブ地方では、1980年代および90年代にかけて、暴動が再三繰り返され、人々の銃保有率は高い。現在は、州全体で36万の銃所有許可証が発行されているという。
不正な銃所有も横行している
不正な銃所有も横行している

 このため当局では、今回は新たな許可申請者への植樹義務によって、年間1万2000本の植樹が進むと期待している。植樹の進展によって地域での保水力が高まると、飲料に頼っている地下水の確保にもつながるほか、モンスーンの洪水対策にも効果が期待される。

 

 また将来は許可書更新者に対しても同様の植樹義務を課すことも検討している。更新需要は毎月500件あるとされ、年間6万本の植樹につながる。

 

 環境・森林・気候変動省の統計によると、インドの国土面積に占める森林の割合は24.39%(2017年)。現行の計画では、この比率を3分の1にまで引き上げることを目指しているが、さらに高い目標に変更する方針だ。

https://www.theguardian.com/global-development/2019/jul/31/india-guns-trees-punjab-firearms-licence