水・電気を完全自給自足する「進化系エコハウス」、静岡のTOKAYグループが開発・販売。雨水・逆浸透膜、大容量の太陽光発電・蓄電設備。災害に強く、生活インフラを自ら確保(RIEF)
2019-08-02 23:08:06
住宅・エネルギー関連事業のTOKAYグループ(本社静岡市)は、電気や生活用水を完全に自給自足するエコハウス型の個人住宅(OTS住宅)の販売に乗り出した。生活インフラの完全自給自足で災害に強く、光熱費も大幅削減でき、CO2排出量削減にも貢献するという。
(写真は大容量の貯水タンク)
同社は2017年から、静岡県島田市でコンセプトハウス「OTSハウス」の開発の実証実験を進めてきた。OTSは「On The Spot」を意味する言葉で、「そこにいるだけで守られる家」という基本 コンセプトだ。主軸機能である水・電気の完全自給自足機能を備え、万一、災害等によって水・電気などのインフラ が停止しても普段通りの暮らしを送ることが出来る。https://rief-jp.org/ct12/69565
まず、水については、雨水を生活用水として利用し、上水道に頼らな い「生活水の自給自足」を実現した。建物・ 敷地に降る雨水を集水し、最大 1.7 万㍑の容量の雨水タンク に貯水、RO(逆浸透膜)浄水システムによって生活水を生み出し、建物内に供給する。
排出された生活排水の一部は浄化して生活水として循環利用する。生活水の循環利用により、 生活排水は一般家庭の約40%まで削減できる。その結果、雨水による生活水の自給自足が可能になるという。雨水による自給自足システムについては、大学産業(浜松市)やアクア デザインシステム(高知市)との共同研究で商品化した。「雨水を水源とした 生活水の自給自足を可能とした建築物」として特許出願も行っている。
電気については、大容量の太陽光発電パネルと大型蓄電池を備え、 系統電力に頼らない「電気の自給自足」を実現する。より多くの太陽光発電パネルを設置出来るように建物をデ ザインし、出力 9.36kW と、従来の一般住宅用の太陽光発電設備の約 2~3 倍の発電能力を持つ。
夜間の電力需要等への対応として、一般的な非常用蓄電池(蓄電容量:3~5kwh)に比べて約10 倍の蓄電容量(48kwh)を持つ大容量定置型蓄電池を備える。蓄電池はバリオスター(高松市)と共同で実証化した。停電時も 10kvA(100 アンペア相当)までの電力を住戸内に供給できる。
建物は、1、2階ともに、ファミリールームや寝室などの家族の空間を中 心に据え、外壁に加えて設備・家具・廊下や階段を「もう1枚の壁」 に見立てて配置、二重の壁で防犯・プライバシー面に配慮したという。自然と照明や空調等のエネルギー消費を抑える設計になっている。
このほか、分散エネルギー・備蓄可能な エネルギーとして再評価されるLPガス、通信・放送分野では光ファイバーを活用した最大10Gbpsの超高速インタ ーネット・高精細な4K放送、安全な飲料水を定期的に届ける宅配水(ウォーターサーバー)サービス、ホームセキュリティなどを備える。
またメンテナンスは、同社のサポートスタッフが定期的に自給自足機能や生活水の水質、住宅・各設備機器の点検を行う。販売はOTSハウスをオールインワンの規格住宅として売り出すほか、水・電気の自給自足を実現する設備機器を組み合わせ、消費者のニーズに合わせた設備パックも販売する。
南海トラフ地震等、生活インフラ寸断の大震災が万一、発生しても、「暮らしやすさ」を維持できることが期待される。実際には「OTSハウス」の機能が、試されない日々が続くことが望ましいのだが。
http://tokai.jp/service/news/pdf/2019/20190723release-t.pdf