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スイスアルプス、温暖化の猛暑で氷河の消失加速を防ぐため、氷河をUV加工の防水布で覆う作業実施。ローヌ氷河ではサッカー場5つ分をカバー(RIEF)

2019-08-05 08:49:58

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  北半球各地で猛暑が猛威を振るっている。温暖化の加速で年々、消失している欧州アルプスの氷河を少しでも守ろうと、スイスアルプス南部のローヌ氷河などで、氷河の一部を紫外線カットのUV加工の防水布で覆う作業が行われた。

 (写真は、防水布で覆われたゲムシュトック山直下のグルシェングレッチャー氷河の一部)

 国際自然保護連合(IUCN)によると、温室効果ガスの排出量がこのままの状態で増加していくと、今世紀末までにスイスアルプスの主要な氷河は消失するとみられている。

 少しでも、そうした氷河の消失を食い止めようと、ローヌ氷河周辺の住民たちは、2009年春から、氷河の一部を大きな布で覆って、溶けるのを防ぐ対策をとっている。

氷河を防水布で覆う作業。手作業で布を広げていく。ローヌ氷河で。
氷河を防水布で覆う作業。手作業で布を広げていく。ローヌ氷河で。

 同地域では過去10年間に氷河の溶解が進み、氷河の厚みは約10mも薄くなったという。溶けた氷河の水で、下部に新しい湖が出現している。湖は毎年拡大している。氷河の消失は、「アルプス」の魅力を減退させ、観光客が減少することにつながる。巨大な布による氷河のカバーは観光資源保護が目的でもある。

 今年も、約5エーカー分をUV加工の防水性の白い布で覆った。布は丈夫なフリースでできており、サッカー場に換算して5つ分に相当する。布は秋まで氷河を守り、夏場の日射による消失を少しでも防ぐことに貢献することが期待されている。これまでの研究によると、氷河の消失を50~70%防いだという。

 場所は、スイス・アルプスの標高2,436mの高所にあるフルカ峠近くのグレチュ付近。人気映画007シリーズのヒット作『ゴールドフィンガー』の舞台にもなった場所だ。映画では、ジェームス・ボンドがカーチェースを繰り広げた道路の背景に雄大な氷河が広がっていた。

氷河が解けてできた湖が毎年拡大している。ローヌ氷河で。
氷河が解けてできた湖が毎年拡大している。左側は防水布でカバーしている。ローヌ氷河で。

 スイスアルプスでは、ローヌ氷河以外でも、ゲムシュトック山のアンデルマットでも同様に、氷河保護の試みが行われている。

 スイス氷河監視ネットワークのMatthias Huss氏は「氷河のカバー布は、太陽から雪と氷を守ることに貢献している。熱を防ぐ効果もある。氷河の溶解のテンポを抑えるうえで大きな効果はある。しかし、すべての氷河をカバーできるわけではなく、実際はごく一部しか守れない。残念だが、時間稼ぎでしかない」と説明している。

 

https://metro.co.uk/2019/07/16/swiss-glacier-covered-tarpaulin-try-stop-melting-10348687/?ito=cbshare

https://www.dailymail.co.uk/news/article-7287799/Blankets-used-cover-five-acres-melting-Rhone-Glacier-Switzerland-protect-heat.html