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再生可能エネルギーの未来を開くハワイ(AFP)

2012-04-13 12:18:24

AFPHawai
【4月12日 RenewableEnergyWorld.com】世界的に人気の観光地ハワイ(Hawaii)。しかしダイヤモンド・ヘッド(Diamond Head)やワイキキビーチ(Waikiki Beach)、ヤシの木や青い太平洋の先に視線をやれば、世界中のモデルとなり得る再生可能エネルギーへの転換が今まさに進行中であることを目のあたりにするだろう。

 ハワイの運輸、電力のエネルギー源の90%は輸入化石燃料(その大半は石油)で、その割合は米国で最も高い。

 石油価格の高騰と変動がハワイの電力コストに打撃を与えている。1世紀近くに及んだハワイ諸島の電力供給の石油依存が持続可能でないことは明白だ。

 ハワイ電力(Hawaiian Electric CompanyHECO)はハワイ諸島のクリーンエネルギーの未来を切り開く、広範な官民パートナーシップの一翼を担っている。このパートナーシップにはハワイの住民、州政府、米連邦政府、そして多数の企業や研究・教育機関が加わっている。目標はハワイの輸入化石燃料への依存度を減らすと同時に当社の顧客のために電気料金の引き下げと安定化を図り、さらにハワイの環境を保護することだ。

 環境に優しいバイオ燃料による発電、電気自動車普及の推進、地熱エネルギー利用の拡大、太陽光発電や風力発電の統合の推進、最新のスマートグリッド技術の実験まで、ハワイのクリーンエネルギーの未来を生み出すソリューションについて、HECOとその関連企業は幅広いポートフォリオを展開している。

■再生可能エネルギーの理想的な実験室

 新たな再生可能エネルギー技術の開発と、それらの技術を連携して機能させるために必要な送電網の近代化にとって、ハワイは完璧な実験室といえる。

 2010年、HECOは太陽光発電部門の成長で、米太陽光発電電力事業協会(Solar Electric Power AssociationSEPA)によって全米で3位にランキングされた。ハワイ州は消費者1人当たりの太陽光発電によるワット数で全米トップクラスになっている。

 またハワイ諸島の中で面積が上位3位までの島では風力発電所が稼動しているのに加え、新たな風力発電プロジェクトも進められている。風力発電に関してはパートナー企業と共に最新式バッテリーやシステム統合、さらに風の強さを予測する新技術なども開発している。

 HECOは、化石燃料からバイオ燃料への転換を図る官民の協力によって、ハワイの農業の活性化、グリーンセクターでの雇用創出、そして石油依存の軽減がもたらされることを願っている。

 オアフ(Oahu)島にあるHECOのバイオディーゼル発電所には、完全にバイオディーゼルだけを燃料とする、実用規模としては初のタービンがあり、ハワイのバイオ燃料産業の発展に向けた大きな一歩となっている。
 
 またHECOではハワイのホットスポット火山(高温のマントル物質が湧き上がっている場所にある火山)の地熱を利用する取り組みも行っている。現在、ハワイ(Hawaii)島の電力の約17%が地熱エネルギーでまかなわれている。

■日本の研究機関も協力

 小規模な島の送電網など、ハワイの地理的条件は世界の他の地域、とりわけアジア太平洋地域に酷似している。このため米エネルギー省と日本の新エネルギー・産業技術総合開発機構(New Energy and Industrial Technology Development OrganizationNEDO)は、マウイ(Maui)島でスマートグリッド(次世代送電網)をテストする3つの事業でHECOに協力することを決め、計5100万ドル(約41億円)の資金を出している。

 単純に言えば、クリーンエネルギーによる小規模で独立したグリッドをハワイで機能させることができれば、それは世界のどこででも機能するだろう。(c)RenewableEnergyWorld.com/Richard M. Rosenblum/AFPBB News

執筆者のリチャード・M・ローゼンブラム(Richard M. Rosenblum)氏はハワイ電力の社長兼最高経営責任者(CEO)。2009年1月より現職。ハワイ電力とその関連会社は、ハワイ諸島の人口の95%が暮らす5つの島で40万を超える個人と法人の顧客に電力を供給している。

http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2870993/8775607