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フランスでのG7サミットで、マクロン仏大統領批判の「逆さまマクロン」運動展開。温暖化対策で国際的なイメージと国内政策ギャップの大き過ぎ、と市民団体らが抗議(RIEF)

2019-08-27 00:06:13

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  フランスで開いた先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、ホスト役を演じたマクロン仏大統領の「気候変動」への評価が内外で分かれている。G7議題に気候変動問題を掲げ、ブラジル・アマゾンの森林火災問題にも言及するなど、「温暖化対策のチャンピオン」をアピールしたが、足元では大統領の写真を逆さまに掲げて、その言動の矛盾を批判するデモ行進が展開された。

 

 フランス・ビアリッツで開いたG7。マクロン大統領は、イランや温暖化問題など、米国が難色を示す課題を提起、結果的に首脳宣言は見送りになった。だが、ホスト役としての筋は通した格好を演出した。特に温暖化問題では、パリ協定から離脱したトランプ米大統領が同問題の議題化をけん制したにもかかわらず、押し通した。

 

トランプ米大統領にも、温暖化問題を説得(?)
トランプ米大統領にも温暖化問題で説得、をアピール(?)

 

 また、会議期間中、国際的に注目を集めたアマゾンの森林火災問題でも、「これは国際的危機だ」と、グローバル取り組みを求めるなど、温暖化・環境課題に「迅速に対応するマクロン」を強調した。https://rief-jp.org/ct12/93127

 

 ところが、日本のメディアはあまり報じなかったが、ビアリッツに近いバイヨンヌの街では、マクロン氏のイメージへの強い違和感が示された。ビアリッツから締め出された形の抗議行動には、24日だけで約9000人が参加した。警察との衝突で同日だけで、68人が拘束される一方で、平和裏にマクロン氏を批判する行進が目を引いた。

 

 行進する人々は、マクロン大統領の写真を上下逆さまにして掲げ、「マクロン、辞めろ」と行進し続けた。フランスの町ではタウンホール等で大統領の写真を飾っている。彼らはこの写真を勝手に持ち出しアピールした。「マクロンは温暖化対策で、言っていることと、やっていることが逆さま」だと。「さかさま運動」は今年2月から始まり、次第にフランス全土に拡大している。

 

「マクロンは逆さまだ!」。大統領の言動不一致を揶揄する住民ら
「マクロンは逆さまだ!」。大統領の言動不一致を揶揄する仏市民ら

 

 フランスでは昨年後半から「黄色いジャケット(gilets jaunes)」運動が続いている。同運動も元は、マクロン政権が温暖化対策を名目に、住民への燃料税増税と、自動車産業に電気自動車開発の補助金を増額する政策への抗議が発端だった。マクロン政権は「温暖化対策」の名を借りて、庶民に負担を強いて、産業支援を厚くしている、との不満だ。https://rief-jp.org/ct12/87584

 

 黄色いジャケット運動が過激化する中で、「逆さまマクロン」運動は、大統領の写真をタウンホール等から持ち出すことは違法だが、抗議はこれらの写真を逆さまにしてデモをするだけ。しかし、マクロン政権の「言動不一致」を一目瞭然で訴える効果がある。

 

 実際、パリ協定のおひざ元を辞任するフランスだが、気候変動対策の成果は十分にはあがっていない。自動車排ガス対策も、ビルなどの建物の省エネ対策も不十分な状態が続いているとされる。

 

「黄色いジャケット運動」は今も続く
「黄色いジャケット運動」も続く

 

 「逆さまマクロン」運動を主催するNGOの「ANV-Cop 21」のスポークスウーマンは、「マクロンは国際的には気候対策のチャンピオンの様に振る舞うが、国内では産業寄り政策ばかりで、十分な温暖化対策をとっていない。このギャップを世界に知らせるのが目的」と語っている。

 

 しかし、マクロン大統領は、「逆さま写真」を意に介さぬ風だ。G7の席上では、CO2削減を進めるため、フランスが強いファッション産業や海運からのCO2排出量の削減、さらに冷房装置からのフロンガス削減等を推進する考えを強調した。

https://www.theguardian.com/world/2019/aug/25/french-climate-activists-protest-while-macron-attends-g7-summit