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英ジョンソン首相、国連「緑の気候基金(GCF)」への拠出額倍増を確約。日米を抜いて最大出資国に。トランプ米大統領の拠出停止の「穴」埋め対策で主導権目指す(RIEF)

2019-08-27 16:35:11

GCF2キャプチャ

 

  英国は途上国の気候変動対策を支援する国連の「緑の気候基金(GCF)」への拠出額を倍増し、17億5000万㌦(約1840億円)に引き上げるとGCFに申し入れた。フランス・ビアリッツで開いた先進7カ国(G7)首脳会議においてジョンソン英首相が明言した。トランプ米政権はGCFへの拠出金を凍結したが、GCFは先進各国に対して拠出金増額を求めており、すでにドイツ、ノルウェーが増額を決めている。

 

 (写真は、GCFのボードメンバーたち)

 

 GCFは、国連の気候変動枠組み条約(UNFCCC)に基づき、途上国の温暖化対策を金融面から支援するために設立されている。これまでに日米欧など47の政府等が103億㌦の拠出を表明。日本は10億㌦の拠出を決定している。ただ、最大の拠出表明国だった米国(30億㌦)は、オバマ政権時代に10億㌦を拠出したが、トランプ政権が残りの拠出停止を表明している。

 

 このためGCFは昨年10月の理事会で、米国以外の先進国に対して出資金の増額要請を行うことを決め、これまでにドイツと、ノルウェーがそれぞれの当初の表明額を倍増させることを公式に明らかにしている。今回の英国の表明はそれらに次ぐ。英国は7億2000万ポンド(約8億7800万㌦)をすでに拠出しており、倍増公約によって、米日を抜いて最大の出資国となる。

 

温暖化対策のリーダーはマクロンより、ジョンソンだ、とつぶやいたかな?
温暖化対策のリーダーはマクロンより、ジョンソンだ、とつぶやいたかな?

 

 ジョンソン首相の増額表明後、英ビジネスエネルギー大臣のAndrea Leadsom氏は「GCFは、気候変動の影響を受ける途上国の多くの人々を支援している。今回、英国としての貢献を倍増できることは本当に喜ばしいことだ。引き続き、気候変動というグローバル課題の解決に向けて、他国とともに取り組んで行きたい」 と述べている。

 

 英国の拠出金引き上げ宣言に対して、GCF代表のヤニック・グレマレック氏は「英国の決定を歓迎する。気候緊急事態に対する英国の強いリーダーシップを示すものだ。途上国の気候変動への積極的な取り組みを支援しているGCFへの信頼を高めることにもつながる」と歓迎している。

  

 9月23日にニューヨークで開く国連気候サミットでも、グテレス事務総長は、気候変動への一段の取り組みを各国に求める方向で、その中でも、GCFへの貢献は重要課題とされている。米国が拠出金を凍結した「穴」を各国で埋めると同時に、さらなる途上国の資金ニーズに対応するための、GCFの取り組み強化が求められている。

 

 GCFでは国連サミットに先駆けて、今週末(8月29~30の両日)にカナダ・オタワで拠出金増額についてのコンサルティングミーティングを予定している。国連サミット後には、第二次拠出決定会合を予定しており、日本の対応も迫られている。

 

 GCFはこれまでのところ、99の途上国での111件の気候変動対策事業に対して、総額52億㌦を配分した。これらのGCFのファイナンスと協調する形で、民間金融機関の資金も呼び込んでおり、総額187億㌦のファイナンスにつながっている。事業支援に加えて、途上国の人々のキャパシティ・ビルディングとして126カ国に1億6000万㌦を供給している。

 

https://www.greenclimate.fund/news/united-kingdom-pledges-to-double-contribution-to-green-climate-fund?inheritRedirect=true&redirect=%2Fwhat-we-do%2Fnewsroom%2Fnews-stories