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23日の国連気候行動サミット、国別削減貢献(NDCs)の強化宣言は約60カ国の見通し。日本は見送り、韓国は強化へ。中国も前向き姿勢示す期待(RIEF)

2019-09-21 21:38:21

UN33キャプチャ

 

 23日にニューヨークの国連本部で開く気候行動サミットで、パリ協定の目標達成のために各国が公約している国別削減貢献(NDCs)を現状より強化する宣言は、現時点で約60カ国になる見通しだ。欧州諸国が中心で、中国や韓国も前向きな方針を示すとみられる。主な現状維持国は、日本、オーストラリア、ブラジルなど。

 

 パリ協定は5年ごとにNDCsを見直すことを定めている。来年2020年がその第一回の見直し年で、NDCを強化する国は、今回のサミットの場でその決意の宣言を期待されている。現行の各国のNDCの削減貢献量を合計しても、協定が目標とする2℃削減を上回ることが確実で、国連のグテレス事務総長は「スピーチより行動を」と呼び掛けている。

 

グテレス国連事務総長
グテレス国連事務総長

 

 Climate Home News(CHN)などの報道によると、23日のサミットの場で演説する各国の首脳は100カ国を超す見通し。首脳自ら気候変動への決意を示すためだが、日本の安倍首相は出席せず、小泉進次郎環境相が出席する。トランプ米大統領も同日は、国連本部に滞在する予定だが、サミットには出席しないという。

 

 サミットでスピーチをする各国首脳はそれぞれ、気候変動に対する自国の対応をアピールする予定。国連の気候変動特別大使のLuis Alfonso de Alba氏によると、約60カ国の首脳が自らのNDCの見直しを前提にしたスピーチになると説明している。英フィナンシャルタイムズ紙は、NDCs強化は63カ国、と報道している。

 

 またCHNは36カ国の首脳がNDCの強化案を3分間スピーチに盛り込むことを確認。それ以外に30カ国前後が投資家等のステークホルダー連合と歩調を合わせた特別イニシアティブに基づいて宣言するとみられるとしている。

 

 トランプ米大統領のほか、ブラジルのボルサナロ大統領、オーストラリアのスコット・モリソン首相といった気候変動に懐疑姿勢を示す首脳はサミットに出席しない。インドのモディ首相は出席の見通しだが、NDC強化を宣言するかどうかは不明。

 

 中国は、現行のNDCではCO2排出量のピークアウト目標を2030年としているが、国家発展改革委員会(NDRC)などの推計では、2022年に前倒しできる状況との報道もある。米中貿易対立が続く中で、パリ協定にそっぽを向いているトランプ政権との違いを強調するため、習近平国家主席がNDC強化を約束するとの見方が強まっている。http://rief-jp.org/ct10/93634?ctid=75

 

 韓国の文在寅大統領もNDC強化を宣言するとみられている。国際的に先進的な行動をとることで、国内での政治的混乱を緩和したい思いがあるとの見方がある。また、日本がNDC見直しを見送る姿勢であることから、国際的貢献に対する日韓の姿勢の違いを世界に強調する狙いもあるとみられる。

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