HOME9.中国&アジア |文在寅韓国大統領、パリ協定の「国別削減公約(NDG)」の見直し強化を宣言。アジアの国では初めて。石炭火力も2022年までに6基閉鎖。GCFへの拠出額倍増等を明言。「何もしない日本」をリード(RIEF) |

文在寅韓国大統領、パリ協定の「国別削減公約(NDG)」の見直し強化を宣言。アジアの国では初めて。石炭火力も2022年までに6基閉鎖。GCFへの拠出額倍増等を明言。「何もしない日本」をリード(RIEF)

2019-09-25 16:18:53

Korea445キャプチャ

 

 政治、経済両面での軋轢が続いている日本と韓国。ニューヨークで開いた国連気候行動サミットでは、文在寅韓国大統領が日本の安倍晋三首相をリードする存在感を発揮した。

 

 そもそも、安倍首相はサミットには出席せず、小泉進次郎環境相が代理で参加した。日本政府は、国連のグテレス事務総長が事前に要請した現行のパリ協定での国別約束貢献(NDCs)の引き上げ約束等を拒絶したため、サミットでスピーチする権利を与えられなかった。この時点で、文氏は、「発言できない」安倍首相を余裕を持ってリードできた。

 

 文大統領は、スピーチの演壇に立ち、2020年に予定されるNDGの見直しに関連して、「国全体の排出権取引制度の実施や、石炭火力発電所を2022年までに6基以上閉鎖すること、水素経済ロードマップの公表等を進めている」と強調。これらの政策措置を新たに組み込んだNDGを提出することを約束した。

 

 さらに、途上国への温暖化対策資金を提供する国連の「緑の気候基金(Green Climate Fund:GCF)への拠出額を倍増させて2億㌦(約216億円)とすることなども明言した。GCFの拠出問題は、トランプ政権の米国が基金設立時に約束した30億㌦の拠出の一部を凍結したことで、欧州諸国を中心として拠出額の引き上げが求められているが、この点も日本政府は立ち尽くした形となっている。

 

 GCFは、韓国が国連の潘基文前事務総長の時代に、韓国が自国に誘致したもので、日本とは力の入れ方が違うともいえる。トランプ政権が約束額を出し惜しみした穴埋めを、欧州諸国に混じって、唯一アジアの国として出資倍増を宣言したことは、「何もしない日本」に比べて、温暖化政策での韓国への信頼性を高める結果につながったことは、間違いないだろう。