HOME8.温暖化・気候変動 |丸紅、「脱石炭火力宣言」から1年間の活動報告を公表。アジア等で3件の石炭火力事業から撤退、再エネは中東で大規模太陽光事業2件に参画。国内の秋田港石炭火力事業の撤退は「不明」(RIEF) |

丸紅、「脱石炭火力宣言」から1年間の活動報告を公表。アジア等で3件の石炭火力事業から撤退、再エネは中東で大規模太陽光事業2件に参画。国内の秋田港石炭火力事業の撤退は「不明」(RIEF)

2019-10-08 22:44:01

marubeni1キャプチャ

 

 丸紅は1年前に打ち出した「脱石炭火力事業方針」の進捗状況を公表した。それによると、①石炭火力事業ではアジアで2件、アフリカ・ボツワナで1件の案件から撤退②保有石炭火力事業のネット発電容量は3月末から約22万kW減少、約270万kWに減った③再生可能エネルギー事業では、オマーンとアブダビ首長国(UAE)で新規稼働ーーなどを報告している。

 

 丸紅は2018年9月、脱石炭火力方針として、①石炭火力事業のネット発電容量を、2018年度末の約3GWから2030年までに半減②新規石炭火力事業は原則取り組まず③再エネ事業を2023年までに倍増、との方針を打ち出していた。http://rief-jp.org/ct10/82894

 

 この1年で実施した石炭火力事業からの「撤退」では、アジア地域で保有していたネット発電容量合計69MW2案件を売却、アフリカ・ボツワナではネ ット発電容量合計150MWの1案件から撤退した。

 

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  このうちボツワナの事業は、丸紅がPOSCO(韓国企業)と共同で計画していたモルプレB石炭火力発電事業(亜臨界圧石炭火力)事業。既存の1~4号機ですでに大気汚染の悪化が確認され、追加事業への反対運動が起きていたほか、ボツワナ政府も将来の電力供給過剰等を懸念し、電力購買契約保障のための預託金拠出を拒否するなど、難航していた。

 

 丸紅は国内では秋田で関西電力系の関電エネルギーソリューションと共同で「秋田港石炭火力発電事業」の着工を環境アセスメント報告書で記載していた今年8月には実施しなかった。このため、断念したとの観測も出ていた。だが、今回の進捗報告書には記載がない。したがって、同事業は引き続き着工を目指しているとの見方が再浮上している。https://rief-jp.org/ct4/92715

 

 一方、再エネ事業では、今年3月にオマーンで総発電容量105MWのアミン太陽光発電事業を着工したほか、4月にはアブダビ首長国(UAE)で世界最大規模の総発電容量1177MWのスワイハン太陽光発電事業の商業運転を開始した。

 

世界最大規模の発電容量を持つスアイハン太陽光発電所
世界最大規模の発電容量を持つスワイハン太陽光発電所

 

 このほか、英国連結子会社のSmartestEnergy社が展開する電力卸売・小売業での再エネ電源の取扱いの拡充するほか、同社の米国等第三国市場での展開も進めるとしている。またアフリカの未電化地域での太陽光発電による電力サービスを展開しているベンチャー企業のWASSHA 社やAzuri Technologies 社にも出資参画した。

 

  丸紅は「これからも、多様なステークホルダーとの適切な連携・協働に努めつつ、世界の気候変動対策への取組 みに多様な事業を通じて貢献していく」と説明している。

 

 丸紅はエネルギー事業に強く、グローバルに発電事業を展開している。環境NGOの推計によると、同社が世界の9カ国で展開する新規の石炭火力発電事業の総発電量は1万3620MWとされ、石炭火力事業者としては日本でトップ、世界でも第11位の計画規模を抱える「石炭火力プレイヤー」と指摘されてきた。

https://www.marubeni.com/jp/news/2019/release/201910041J.pdf

https://www.marubeni.com/jp/news/2018/release/00036.html