HOME8.温暖化・気候変動 |グレタさん、北欧理事会が決めた「環境賞」の受賞を拒否。「気候対策を求める活動に、賞は必要ない。必要なのは、権力を持つ人々が、科学に耳を傾けること」と説明(RIEF) |

グレタさん、北欧理事会が決めた「環境賞」の受賞を拒否。「気候対策を求める活動に、賞は必要ない。必要なのは、権力を持つ人々が、科学に耳を傾けること」と説明(RIEF)

2019-10-30 22:42:05

greta66キャプチャ

 

  スウェーデンの16歳の環境活動家、グレタ・ツゥーンベリーさんは、北欧各国で構成する北欧理事会(Nordic Council)がグレタさんの活動に「環境賞」を送ることを決めたことに対して、受け取りを拒否した。「気候対策の活動に賞は必要ない。必要なのは、権力を持つ人々が、賞にではなく、科学に耳を傾けること」と述べた。

 

 北欧理事会は1952年に、グレタさんの母国のスウェーデンなど、北欧3カ国が、第二次大戦に巻き込まれたことの教訓から、各国の政府、議会による協調と協力を進めるために設立された。その後、フィンランド、アイスランドが加盟して現在5カ国とグリーンランドなど3地域で構成する。

 

 グレタさんは、同理事会のスウェーデンとノルウェーの両国から、年間環境賞候補の推薦を受けていた。理事会の発表後、グレタさんの代理人が、グレタさんは同賞を受賞せず、賞金の35万デンマーククローネ(約5万2000㌦=561万6000円)の受け取りも拒否すると述べた。

 

 グレタさんは現在、米国滞在中。インスタグラムに投稿し、「温暖化対策の活動は、どんな賞も必要ない。われわれが必要としているのは、われわれの政治家や権力を持った人々が、現在の最善の科学に耳を傾けることだ」と、受賞拒否の理由を説明した。

 

 またグレタさんは、欧州理事会の選考に感謝の念を示す一方で、北欧諸国の温暖化対策にも苦言を呈した。「北欧諸国は、気候問題に対する自らのこれまでの評判に恥じないような行動をとるべきだ。自慢することが足りないわけでも、美しい言葉が足りないわけでもない。北欧諸国の一人当たりの実質CO2排出量や生態系フットプリントをみれば、『評判』は全く別のストーリーになる(大したことはしていない、の意味)」。

 

 北欧理事会がグレタさんを「環境賞」に選んだのは、今年のノーベル平和賞の最有力候補とみられていたグレタさんを、「政治的理由」で、はずしたことへの配慮だったのかもしれない。あるいは、グレタさんが批判したように、「北欧諸国は十分に温暖化対策をやっている」と、世界にアピールする狙いだったのかもしれない。

 

 一方で、グレタさんにしてみれば、温暖化懐疑論者や極右勢力などから、「売名行為」「金儲け」などの批判を受けていることを一掃するためには、今後、賞とは関わらないことを宣言したかったのかもしれない。

 

 賞をありがたがって受け取る人々は、洋の東西を問わず多い。だが、賞を贈る側、選ぶ側の思惑も見逃してはならない、ということのようだ。16歳のグレタさんは、その辺も見抜いているのかもしれない。

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https://www.theguardian.com/environment/2019/oct/29/greta-thunberg-declines-award-climate-crisis