HOME8.温暖化・気候変動 |中国とフランス首脳会談で、パリ協定堅持の共同声明に署名。トランプ米大統領の協定離脱通達への「対抗」意識を明確化。来年、北京で開く生物多様性COP15での中国の主導力も強調(RIEF) |

中国とフランス首脳会談で、パリ協定堅持の共同声明に署名。トランプ米大統領の協定離脱通達への「対抗」意識を明確化。来年、北京で開く生物多様性COP15での中国の主導力も強調(RIEF)

2019-11-08 18:39:40

China2キャプチャ

 

 中国の習近平国家主席とフランスのマクロン大統領は6日、北京で、温暖化対策の国際ルール「パリ協定」を支持する協定に共同署名した。トランプ政権の米国が前日にパリ協定からの離脱を国連に正式に通達したことを受け、仏中の連携をアピールする狙いもあったようだ。

 

 (写真は、共同署名後、乾杯する仏中首脳。ワインはボルドーだな)

 

 共同声明で、両国は「パリ協定を強く支持することを再確認した。同協定は気候変動への強い行動をとるための不可欠なプロセスであり、羅針盤でもある」と強調した。そのうえで、大阪でのG20の共同声明を踏まえ、「非効率な化石燃料補助金の段階的廃止を確認する」などとした。

 

 さらに生態系損失の増大や気候変動が、グローバルな平和と食糧安全保障、さらに持続可能な開発、人々の健康問題、海洋、森林、土地荒廃等と相互に絡み合っているとの問題意識を確認した。

 

トランプなんか蹴っ飛ばそうぜ!と言ったかどうか・・
トランプなんか蹴っ飛ばそうぜ!と言ったかどうか・・

 

 そうした問題意識を踏まえ、気候変動と生物多様性問題を相互に連携させ、来年10月に北京で開く生物多様性条約(CBD)第15回締約国会議(COP15)において、他の政治リーダーたちと連携することを確認した。CBDのCOP15は現在の愛知目標(2011年~2020年)を継承する「Post 2020」の生物多様性目標での合意を目指しており、中国の主導力が試される。

 

 声明では、CBD・COP15についての両国の協力強化も随所でうたっている。COP15は気候変動政策との連動に加えて、国連の持続可能な開発目標(SDGs)との適合性も求められる。海洋汚染問題では、迅速な各国行動をとることの必要性をあげ、プラスチックごみでも最大の排出国である中国の対応が期待されている。

 

 会見では、習主席が「両国が気候変動への対応に向けてパリ協定を前進させる決意を共有している」と強調。両首脳とも米国を直接名指しはしなかったが、マクロン大統領は、一部の国が「孤立した選択」を行ったと指摘した。同氏はそうした行動をとった国の選択を遺憾に思うとしながらも、中国やEU、ロシアなどがパリ協定の取り組みを進めており、世界的な流れを変えることはないだろうとの見方を示した。

 

 またマクロン氏は習主席が推進する「一帯一路」イニシアティブについて「中国が進めるプロジェクトは、グローバルなインフラ貿易を発展させるものだ。その(投資の)流れは片道(先進国から中国へ)ではなく、両方の流れが期待される」と指摘した。大統領には約30社のフランス企業の代表が同行、気候変動および一帯一路のビジネスチャンスに取り組む姿勢をあらわにした。

 

 中国のCO2排出量は米国を上回る世界最大量となっている。エネルギー消費の約6割が石炭等の化石燃料に依存しており、同依存率の低下、再生可能エネルギーへの転換を目指しているが、急速な転換は期待できない。世界の気温上昇を気候変動の激化を回避する1.5℃以内の上昇にとどめるには、現在のパリ協定の国別削減約束(NDCs)の合計では不十分。中国も2020年のNDCs見直しを宣言しているが、実際の追加削減目標は定かでない。

https://www.elysee.fr/emmanuel-macron/2019/11/06/beijing-call-for-biodiversity-conservation-and-climate-change.en

https://www.reuters.com/article/us-china-france-paris-agreement/china-france-reaffirm-support-of-paris-climate-agreement-call-it-irreversible-idUSKBN1XG0QJ